2008年05月09日

地球最後の砦

地球最後の砦 (ハヤカワ文庫 SF 28)

  •  A・E・ヴァン・ヴォクト

  • 販売元/出版社 早川書房

  • 発売日 1971-06

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マイクル・スワンウィックの『グリュフォンの卵』に収められていた「時の軍勢」がヴァン・ヴォクトっぽいなあと思っていたら『地球最後の砦』のオマージュだという話を知って、探し出して読んでみた。
おお、これは確かにそうだ。うれしくなるほどスワンウィックはヴァン・ヴォクトを真似している。
それにしてもヴァン・ヴォクトって人は自分のことを神か何かそれに近い存在だと思っていたんじゃないのだろうか。
ここまで無茶で破綻しきっている物語を圧倒的なパワーで最後まで押し切ってしまうのは普通の人間じゃ出来っこない。まあ大抵は書き上げても恥ずかしくって世に出せないだろう。
後にも先にもこんな芸当が出来て、そしてそれが許されるのはヴァン・ヴォクトだけなような気もする。いやちょっと言い過ぎか。
しかし登場する人物のどいつもこいつも超人的な能力を発揮し、というか凡人として登場したはずの人間ですら物語が進むと驚くべき能力を発揮するのだから呆れて物も言えないのだが、何よりもラストの一文が凄まじすぎる。

可哀相に、何も知らないスーパーマン。

超人ですら「可哀想」といわれる扱いなのである。ヴァン・ヴォクトは自分のことを神か何かそれに近い存在だと思っていたに違いない。  

2008年05月07日

SCARDOWN―軌道上の戦い―

SCARDOWN―軌道上の戦い― [サイボーグ士官ジェニー・ケイシー2] (ハヤカワ文庫 SF ヘ 9-2 サイボーグ士官ジェニー・ケイシー 2)

  •  エリザベス ベア前嶋 重機月岡 小穂

  • 販売元/出版社 早川書房

  • 発売日 2008-04-09

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前巻と同様、相変わらずあらすじが先走ってしまっているのはどうかと思うわけでとにかく話が進まない。半分近く読み進めても中国側の熾烈な攻撃は起こらないのである。
もっともこれはあらすじに影響されて読んでしまった場合のことで、そんなもの気にせず読んだ場合はどうかといえば、やっぱり展開が遅い。前巻で行方知れずとなった人物がどうなったかなんてかなり後にならなければ判明されず、前巻の終わりで主人公が船に乗り込んだと思いきや、いつのまにか地球に戻ってきているし、予想外の展開が多い。
主人公のライバルになりそうな人物はライバルになる以前に危うく物語から退場しかけるし、中国側の描写も登場するけれども、中国側がとんでもない事をしてくる割には中国側の視点人物はいい人なので、落差が激しいし、主人公が憎んでいる人物は終盤でいきなりかっこいい見せ場を作ったりする。
というわけで、逆に考えれば予想を裏切る展開の応酬というわけであり、これほど意外性に富んだ物語というのも近年まれにみる存在だとも言える。まあどんな物語でも楽しもうと思えば、いくらでも楽しむための読み方というのあるのだ。
  

2008年04月17日

HAMMERED―女戦士の帰還―

HAMMERED―女戦士の帰還 (ハヤカワ文庫 SF ヘ 9-1 サイボーグ士官ジェニー・ケイシー 1) (ハヤカワ文庫 SF ヘ 9-1 サイボーグ士官ジェニー・ケイシー 1)

  •  エリザベス・ベア月岡 小穂

  • 販売元/出版社 早川書房

  • 発売日 2008-03-20

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もともとそれほど期待などしていなかったのに、その場の勢いで買ってしまい、買った後でちょっと後悔していたりもしたんだけれども読んでみたらこれがなかなか面白い。
もっとも、読んでも読んでもなかなか話が進展せず、二百ページぐらい読んでも二百年後に地球が滅亡するなんて気配すら感じさせなくって、ひょっとしたらオレが買った本だけ表紙カバーと中身が別物になっているんじゃないかって心配になってくるのだけれども、最近の海外SFの展開の遅さは覚悟の上なので平気だ。
むしろ、地球滅亡まで後二百年というタイムリミット、といっても二百年はちょっと長すぎて緊張感はまったくないけど、その事態を脱却するために、おりしも火星に不時着した異星人の宇宙船を解析して恒星間宇宙船を作り上げ、他の星へと目指すという展開はどことなく『宇宙戦艦ヤマト』を彷彿させる。
アニメ版はイスカンダル星から救いの手がさしのべられ、さらにエンジンの設計図まで貰ったのでちょっと違いすぎるけれども、石津嵐版の『宇宙戦艦ヤマト』では地球を救う方法を教えるから自力で来い、とメッセージが伝えられただけで、波動エンジンは不時着した宇宙船を解析して自力で作り上げたのでその部分は似ている。
さらには古代進と島大介と森雪の三角関係、というのが本当にあるのだ石津嵐版には、に対して本書でも三角関係が存在するし、中国が主人公たちに敵対する敵として存在するので、中国がガミラス星人的な役割を担っていると考えれば、失恋した島大介がガミラス星人に寝返ってヤマト内部で破壊活動を繰り広げるという石津嵐版の展開と同じようなことが次巻以降で起こっても不思議ではない気もしてくる。
とりあえず、地球の生態系を元通りにするつもりなど毛頭ないあたり、苦労してイスカンダル星にたどり着いてみれば、地球を元通りにする方法など無いから人間の方を人体改造して地球環境に適合させるしかないなどというとんでもない結論で終わった石津嵐版と似通っているので今後が楽しみだ。
もっとも、それだったら石津嵐版『宇宙戦艦ヤマト』を読めば済む話でもあるのだが。  

2008年04月11日

スターシップと俳句

スターシップと俳句 (ハヤカワ文庫 SF (580))

  •  冬川 亘

  •  ソムトウ・スチャリトクル

  • 販売元/出版社 早川書房

  • 発売日 1984-10

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いい加減な知識を元にして日本を舞台とした話を書いたために結果として不思議な国ニッポンとなってしまった海外の小説は数々あるけれども、中には、正確な知識を持っていながらもわざと曲解して不思議な国ニッポンを書く作家もいる。イアン・ワトソンの「銀座の恋の物語」なんかがそうで、いい加減な知識で書いてしまうよりもかえってたちが悪かったりする。
もっともたちが悪いのは外国人作家だけではなく、日本人作家の中にだって筒井康隆や都筑道夫や小林信彦や山口雅也や海猫沢めろんとかいちいち挙げていたらきりがないほどいる。
そういった中でこの本は、「曲解されたニッポン物」の最北に位置するんじゃないだろうか。
千年期戦争で米ソは壊滅、日本は奇跡的に助かったという設定の時点で既に何か邪悪な作為を感じさせるのだが、まあとにかく全編、恥と潔い死の概念のオンパレード。潔い死ってのが結局は切腹なんだけど、ここまでくるとある種の美意識さえ感じさせる。
クジラが自分たちの祖先だったということを知り、祖先殺しに恥じて集団自殺をするのだが、その死に方が素晴らしい。富士山の映像を背景にシコクというテーマパークを作って自殺するように洗脳する芝居を見せられ次々と死んでいくのである。
異形の未来世界でありながらその世界がどのような世界なのかという具体的な描写はほとんど無く、あったとしても喫茶店で六百万円の珈琲を飲んで一千万円札で支払ったなどといったぶっ飛んだ描写だったりするのだが、そんな描写もゆがんだ日本人の精神の前には些細な出来事でしかない。
作者によってゆがめられた日本人の感性は全てのページに無駄なく敷き詰められており、その内容につっこみを入れようとする気力さえ失われさせてしまうほどだ。
  

2008年03月14日

ジャンパー グリフィンの物語

ジャンパー グリフィンの物語 (ハヤカワ文庫 SF ク 8-7) (ハヤカワ文庫 SF ク 8-7)

  •  スティーヴン・グールド公手 成幸

  • 販売元/出版社 早川書房

  • 発売日 2008-03-07

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小説版『ジャンパー』の前日譚だと思っていたら映画版『ジャンパー』の前日譚だったので読もうかどうしようか迷ったんだけど結局読むことにした。
小説版『ジャンパー』を読んだのは遙か昔のことなので、どんな話だったのかすっかり忘れてしまっている上に、映画はまだ未見なので果たして大丈夫なのかとも思ったんだけど、前日譚なのでそのあたりは特に問題は無い。
はっきりいってしまえばSFとしての面白さってのは全然なくって、こりゃSFジュブナイルだよなあ。
とはいえども最初からSFとしての面白さってのは期待していなかったのでそのあたりは全然平気だったわけだが、お話としては予想以上に面白かったので驚いた。
強いていえば筒井康隆の『七瀬ふたたび』といったところで、ちょっと話がうまく行きすぎるきらいはあるけれども、まあそのあたりは許容範囲内で、主人公の成長物語としては意外に掘り出し物だったかな。
ただ一つ残念なのは、いよいよこれからというところで話が終わってしまうところで、映画の前日譚として書かれたものだから続きは映画でというわけなんだろうけど、うーむ、この先、主人公が幸せになることが出来たのかどうなのかがちょっと気になる。  

2008年02月22日

ベティアンよ帰れ

ベティアンよ帰れ (ハヤカワ文庫 SF 74)

  •  クリス・ネビル矢野 徹

  • 販売元/出版社 早川書房

  • 発売日 1972-11

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「Bettyann」と「Overture」という二つの短編をあわせて長編化したものなんだけれども、基本は「Bettyann」。
「Overture」が未読なのでどの部分が「Overture」の部分なのかは想像するしかないのだけれども、短編版「Bettyann」を水増ししただけに過ぎない感じもする。
三部構成で第一部はベティアンの幼少の頃とアミオ族の惑星遍歴の物語が交互に語られるのだが、第二部以降はベティアンの物語のみ。アミオ族の物語はイーガンの『ディアスポラ』における主人公の旅を彷彿させる部分もあってSF的には面白いのだが、クリス・ネヴィルはそういったセンス・オブ・ワンダーの方向には振り向いてくれない。
ダニエル・キイス『アルジャーノンに花束を』は長編化しても傑作となり得たのだが、『ベティアンよ帰れ』の場合、長編化したのは失敗だったのではないだろうか。
しかし、アミオ族のパートでは滅び行く種族の孤独感がひたすら描かれ続け、ベティアンのパートではどんな場合でも満たされない孤独感が主人公を苛む。それは今、自分がいる場所ではない、此処では無い場所への渇望であり、この間隔はおそらくSFが好きになった人間であれば一度は感じた事のある感覚ではないだろうかと思う。
  


2008年01月25日

銀河北極

銀河北極 (ハヤカワ文庫 SF レ 4-4 レヴェレーション・スペース 2) (ハヤカワ文庫 SF レ 4-4 レヴェレーション・スペース 2)

  •  アレステア・レナルズ/

  • 販売元/出版社 早川書房

  • 発売日 2007-12-14


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火星の長城』と同様、500ページ近くありながら五編しか収録されていないので短編というよりも中編といった感じが強い。もっと短くコンパクトにまとめることが出来ないのかお前は、と言いたくもなるけれども、本心からそう思っているわけじゃない。
所詮はスペオペなのでアイデアが使い古しだとか古くさいとか文句を言っても仕方ないし、言う方が間違っているわけなのだが、ここまでくるとちょっと心配になってきたりもする。まあ<レヴェレーション・スペース>という共通の未来史なので仕方ないのもわかっているんだけどさ。
それにしてもレナルズっていろんなものをくっつけて融合させてしまう話が好きだよなあ。なんか子供の頃にトラウマでも受けたんだろうかと思ってしまうけど、「融合」というものがこのシリーズの要なのかもしれない。そういう意味では、絵的には諸星大二郎的かもしれないが、個人的には星野宣之に漫画化してもらうとぴったりと来るんだよなあ。
ひとつだけがっかりしたのは「火星の長城」の登場人物たちがまた登場するのだろうと思っていたに登場しなかったこと。  

2008年01月21日

超人類カウル

超人類カウル (ハヤカワ文庫 SF ア 8-1) (ハヤカワ文庫 SF ア 8-1)

  •  ニール・アッシャー/

  • 販売元/出版社 早川書房

  • 発売日 2007-12-14


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まわりを見回してみると評判がいいので面白い話なんだろうけれども、個人的には面白くなかった。
というのも題名にも登場している超人類「カウル」は主役ではなく悪役というかラスボスで、主役はというと事件に巻き込まれてしまう少女ポリーと捜査官タックの二人なんだけど、一緒に行動するのは最初だけで途中から別行動。捜査官タックは暗殺者としてプログラムされたクローン人間ということでさぞかし大活躍するのだろうと思いきや、突然現れた未来人になすすべもなくボコボコにされてしまう。そしてわからないことを未来人に質問しようとすれば、誰がしゃべっていいといったなどといちゃもんつけられて殴られたり、晩飯を採ってこいと魚釣りをさせられたりする始末。こんな状態で、未来人よりもはるかに強いカウルを倒すことが出来るのか不思議で仕方ないのだが、まあ想像の斜め上を行く展開はそれなりに楽しい。
航空機のドッグファイトにおける運動エネルギーと位置エネルギーの概念をそのまま置き換えたかのような時間理論はまあ面白いんだけれども、結局はどれだけエネルギーを注ぎ込めるかという物量戦に終始してしまったので残念。
この半分の分量でまとめてくれたらもっと面白かったのになあ、長すぎるよやっぱり。  

2007年12月05日

闘士

うーむ、2007年11月16日に沼沢洽治氏が亡くなられていたとは……。しかし驚いたのはペンネームだと思っていた沼沢洽治が本名だったこと、正確には沼澤なのだけれども、子供の頃は絶対にペンネームだと思っていたんだよね。
とびっくりしていたら平井イサク氏も11月30日に亡くなられていたとは。

で、それとは関係ないけれども前回がバットマンだったので、こちらにも触れなければなるまい。

闘士

  •  ワイリー/

  • 販売元/出版社 早川書房

  • 発売日 2000


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基本的に悩まないヒーローであるスーパーマンよりも、性格的にちょっと問題のあるヒーローとして描かれるようになったバットマンや、元祖悩めるヒーローのスパイダーマンの方がもてはやされているのだが、スーパーマンの元ネタとなった『闘士』は悩みまくる超人だった。今の状況はさておき、スーパーマンはヒットしたのだから『闘士』の主人公から悩みを取り外してしまったのは英断だったといえよう。
しかし現代は、いや昔だってそうだったのだが、悩み多き時代である。古びてしまっているかのように見える『闘士』も読み直してみると全然古びていないことに驚く。
もっとも、作中で主人公が自分の力を生かすために外人部隊として戦争に参加するのだが、その戦争というのが第二次世界大戦ではなく第一次世界大戦であることに気付いたときにはちょっと驚いた。そりゃそうだ、この作品は1930年に発表された作品でまだ第二次世界大戦は起こっていない。
作者は主人公にひたすら試練を与え続けるので、最初のうちは順調であってもとにかくやることなすこと全てがうまくいかない。超人的な肉体と超人的な知能と引き替えに、運を全て失ってしまったかのようである。
ラストが唐突すぎるといえば確かにそうなのだが、自分は何者であり、何をなすべきかというアイデンティティを求め続けた一人の男の物語であることを考えれば、アイデンティティを得ることが出来た瞬間にこの物語はその役目を終えるのであって、物語そのものがハッピーエンドで終わらなければいけない必要など無いのである。
ナイト・シャマラン監督の『アンブレイカブル』も同様であって、自分が何物であるのかがわかった瞬間に物語の幕は閉じる。もっともこの場合、善悪両方のアイデンティティが確立されるという点が素晴らしいのだが、『闘士』を読んでみて『アンブレイカブル』があまりにも似ていることに驚いたよ。  

2007年11月15日

ゴールデン・エイジ 3 マスカレードの終焉

ゴールデン・エイジ3 マスカレードの終焉 (ハヤカワ文庫 SF (1638))

  •  ジョン・C・ライト/

  • 販売元/出版社 早川書房

  • 発売日 2007-10-24


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全長100キロメートルを越す宇宙船を手に入れ、外宇宙へと目指しているのかと思いきや、まだ海王星付近。しかも主人公ファエトン自身の人格をダウンロードしているところから物語は始まる。どうやら前作で仲間になったアトキンズに殺されて復活の最中らしい。同意の上で殺されたらしいのだがその理由はわからないというまたしても記憶喪失の状態である。
そして宇宙船の正統な持ち主が乗船を求めてきているのだが、彼は明らかに敵の手先なのだ。いきなり窮地に立たされる主人公ファエトン。そして次から次へと明かされる意外な真実。
宇宙船はさっぱり太陽系から外へは出ないうえに、次から次へと意外な事実が明らかになりながらもどれが真実なのかさっぱり判らない状態なので全然スッキリしない展開が続く、というかひたすら議論しまくるのだ敵も味方もこの連中どもは。
しかしそんな中でも知能指数350程度に下がってしまっただとか、強烈な加速度のせいで防護服の中でドロドロのミンチ状態になっていたのを再生しただとか、狂ったガジェットやらアイデアやらは満載。そもそも議論だけで敵をやっつけてしまおうとするんだから何かが決定的に狂っているとしか言いようがない。あまりにも素敵すぎる。
そして最終決戦の場は太陽の中である。せっかく登場した恒星間移動能力を持つ最強の宇宙船も、その能力を太陽の高温に耐えるためだけに使われるのである。
最終巻でのカタルシスに期待して前二巻を耐えに耐えて読んできた人にはがっかりな展開なのだが、ここまでやられると不思議なトリップ感というか酩酊感に酔いしれてしまい何故か満足してしまうし、読後感は非常に良い。これぞSFだという感じさえしてくるのだが、多分気のせいだろう。
しかし、なにかとんでもない話を読んだということには違いなく、世間の評価がどうであれ、この不思議な高揚感は最期まで読んだ人間だけが味わうことが出来る特権だ。もっとも、これだけの苦行をしたのだからあっさりと駄作だと認めたくはない気持ちも若干あるけど、作者も読者も何か決定的に勘違いしているんじゃないのかと思わせてしまうこの作品、十年後くらいにもう一度読み返してみたい物である。

ゴールデン・エイジ 1 幻覚のラビリンス
ゴールデン・エイジ 2 フェニックスの飛翔』  

2007年11月01日

アラクネ

アラクネ

  •  リサ メイスン/

  • 販売元/出版社 早川書房

  • 発売日 1992-12


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SFというよりも未来社会を舞台とした普通の小説といった感じだった。月並みな表現かも知れないのだが読んでいてさっぱりワンダーを感じさせないのだ。
これをそっくるそのまま現代に移し替えるのはちょっと困難なのだがしかし、置き換えてしまってもやりたかったことは出来るんじゃないのか。
そう思わせる理由の一つとして、中途半端に古びてしまっているせいもあるのかもしれない。舞台となるのは、大震災で一度壊滅した後に復興したサンフランシスコで、ここで描かれている未来の社会はかなり面白いのだが、サイバーパンク版「ガーンズバック連続体」といったところで、もう少し時間が経てば懐かしささえ感じさせてくれるに違いない。
もちろん事件の真相部分においてはSF的な面白さもあるのだが、読んでいるうちに邪魔になってくる。そこがこの本のSFとしての欠点なのだろう。
読後感は柾悟郎『ヴィーナス・シティ』かなり似ているので『ヴィーナス・シティ』が評価されたのならばこちらも同じように評価されてもいいのにとも思うのだが、今となってはSFとしては無理だろうなあ。  

2007年10月22日

軍犬と世界の痛み

軍犬と世界の痛み (ハヤカワ文庫 SF ム 1-31 永遠の戦士フォン・ベック 1) (ハヤカワ文庫 SF ム 1-31 永遠の戦士フォン・ベック 1)

  •  マイクル・ムアコック/

  • 販売元/出版社 早川書房

  • 発売日 2007-09-06


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エルリック新三部作の冗長さにげんなりして、永遠の戦士シリーズはひとまずこれでお終いにしようと思っていたんだけど、意外と薄くってしかも永遠の戦士らしい部分が少ないということだったので読んでみた。
で、読んでみると確かに永遠の戦士らしくない。ルシファが神と和解しようとしていたり、主人公がルシファに連れられて地獄へ行っても、恐れおののくわけではなくあくまで冷静に地獄の分析をしてみたりするあたりはなかなか自分好みの展開。
なんだかんだいって結局はルシファに頼まれ、世界の痛みを癒すといわれる聖杯を探す旅に出るわけだが、新三部作でも悪役だったクロスターハイム、もちろん祖先の方だが、彼が登場して、やっぱり主人公と敵対する。その理由というのが、神と和解してしまうと地獄がなくなって困ってしまうルシファの僕たちの叛乱というあたりは主人公たちには申し訳ないが愉快なところだ。
しかし、ムアコックの事だからさぞかし皮肉的、しかも意地悪な結末を迎えることだろうと思っていたら、拍子抜けするほどまともというか、主人公にとっては幸せな結末を迎えたので驚いたよ。聖杯の謎に関してもけっこうしっくりとくる真相で、これもまた良かったなあ。  

2007年10月15日

ソーラー・フェニックス

ソーラー・フェニックス

  •  リチャード・S. マッケンロー/

  • 販売元/出版社 早川書房

  • 発売日 1987-09


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斉藤伯好氏が亡くなられてもう一年以上が過ぎてしまった。エンターテインメント系のSFを翻訳させたらこの人の右に出る人はいないというか、出る本のほとんどが青背ばかりになってしまったハヤカワSF文庫の白背をほとんど一人で背負っていたような気がする。『プルトニウム・ブロンド』もこの人が訳していたので続編の翻訳はもう出ないかも知れないなあ。
というわけでもないのだが、たまたま読んだこの本も斉藤伯好氏による翻訳だった。
維持費が払えず、今にも破産寸前の宇宙貨物船の船長モーゼス・キャラハン、彼の宇宙船はというと、常に警告ランプが付きまくりでいつ宇宙の藻屑と化してもおかしくないオンボロ宇宙船。運良く積み荷の仕事を引き受けたのだが、彼の船には操縦士がいなかった。なんとか曰くありげな操縦士を見つけたはいいけれども、引き受けた積み荷の方も曰くありげ、あらゆる物を恒星化してしまうベータ・トリガーという危険この上もない代物だった。しかも出発間近になって依頼人は何者かによって殺され、おまけに曰くありげな二人の人物が乗客として乗り込んできた。
と初っぱなからなし崩し的に時限爆弾爆発十秒前的な状況に陥るのだが、そこからが非常にもやもやとした展開が続く。かといってつまらないわけでもないのだが、今にも何か起こりそうな危うい状況がひたすら続くのである。何しろ後から乗り込んできた怪しげな二人、主人公たちも怪しいことがわかりきっているのだが、迂闊に手が出せない状況なのである。もちろん相手側も同様。
そして終盤、このたまりに溜まったもどかしさが一気に爆発するのだけれども、これが溜めに溜めまくったせいなのか、ここまで引っ張ってきて、これでお終いなのかといいたくなるほどあっさり一気に爆発してしまう。派手なドンパチもあるのだが、これもあっという間にけりが付く。しかし、しかしだねえ、この身も蓋もなさも含めて、ラストが良いのである。  

2007年09月25日

時の罠

時の罠

  •  キース・ローマー/

  • 販売元/出版社 早川書房

  • 発売日 2000


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いまさらキース・ローマーという気もしないでもないが、『銀河のさすらいびと』は復刊したし、気楽に読めて単純明快で、そして楽しくって面白くって、なによりも薄いというのは捨てがたい魅力がある。
で、実際に読んでみると『銀河のさすらいびと』と同様、そんなに必死で読もうと努力するほどの物でもなかったんだけれども、まあ、はったりは効いている。
なにしろ、異次元からの侵略者によって、世界は104億494万1602の閉鎖空間に分断され、24時間単位でリセットされる時の罠に閉じこめられてしまうという設定そのものはワクワクする設定である。しかも主人公と行動を共にする美少女の名前がク・ネルである。全くどうしてこんな名前を使うんだキース・ローマー、と問いつめたくもなるんだが、まあそんなことはどうでも良い。
この少女、物語が始まって数ページ目にいきなり登場していきなり死んでしまうのである。主人公が何物なのかもまだよく判らないうちにというもの凄い高速展開。しかし、その後100ページ近く主人公は、時の罠の裂け目をくぐり抜けてただ単に分断された閉鎖空間を渡り歩くだけなどという苦行僧のごとき展開をしていくのである。230ページしかない中で事件解決に何も奉仕しないエピソードが延々と続いて、この先どうなるのかと別な意味でハラハラドキドキするのだが、元々のネタが、それほどの長編向きのネタではないので読み終えてみれば安心。後半は意表をつくご都合主義連発でもって無事解決へと結びつくのである。
それにしても、<多元宇宙>シリーズといい、<混線次元>シリーズといい、<レティーフ>シリーズはちょっとたくさんあるので仕方ない気もするが、どのシリーズも翻訳が途中で止まってしまっているのはもったいない気がする。
調べてみたらこの本だって、『Back to the Time Trap』って続編があるじゃないですか。  

2007年09月14日

王狼たちの戦旗(5)

昨日、家に帰ると東京創元社から封筒が届いていた。
これは、ひょっとして、「この本をお前にやるから、お前のブログで宣伝しやがれ」と東京創元社が献本をしてきたのではないかと、思いたくても思えないほどの小さな封筒であった。
もちろん、50ページほどの非常に薄い文庫本ならば折り曲げてむりやり詰め込むことも出来るかも知れないが、何が悲しくてそこまでの努力をしなければいけないのであろうか。
懸賞に応募した覚えはないが、キャプテン・フューチャー全集全巻ご購入の方への応募者全員プレゼントには応募した覚えがある。
というかここ最近、そろそろ届いても良いのではないのかと気になって仕方がなかったのである。
紀田順一郎によれば、「出す出すといってなかなか出さないのが東京創元社」である。しかも今回のプレゼント内容は鶴田謙二の書き下ろし+メッセージ・カード付だ。東京創元社+鶴田謙二という最凶の出さないコンビの組み合わせである。
夏の終わりに発送と書いてあったけど、夏っていつの夏だ、五年後か。もはや自分が生きているうちに届けば御の字だと思うほどにもなっていた。というのはちょっと言い過ぎだけど。
思い起こせば、かつて東京創元社がデュマレスト・サーガの刊行を行ったときにもデュマレスト・サーガ下敷きというものを応募者全員プレゼントとして行ったことがある。
石橋をたたいて渡る性格、絶対に勝つ勝負しかしない小心者の私は、デュマレスト・サーガに何の興味もなかったけれども、もちろん応募した。応募すれば必ずもらえるのである。
しかしその下敷きも、まだゴミの分別などという概念の無かった時代、燃えるゴミとして捨てられてしまい、おそらく地球にも人間にも優しくない存在となって大気中を漂ってしまった。ひょっとしたら今この文章を読んでいるあなたが吸っている空気にもその一部が含まれているかも知れない。ああ、いまあなたは私と一緒に私の想い出の一部を共有しているのである。
まあそれはともかく小心者の私は、未だにデュマレスト・サーガの最終巻が出ないのは下敷きだけもらったくせに本の方は読まなかった私にも少しは責任があるのかも知れないと、心を痛めるのであった。
話を元に戻そう。
なにはともあれ無事私の手元に届いたのである。ここで写真に撮って皆さんにお見せしても良いのであるが、なにしろ書き下ろしの一枚が異常にエロいのだ。もったいなくって見せてたまるかという気分になってくる。
それにいずれ『鶴田謙二画集』が刊行されるのであるからして、そちらの方で見ればいいのである。いつ出るのかはわからんけど。

で、普通ならばここで東京創元社の本の感想を書くのが仁義だと思うかも知れないが……。

王狼たちの戦旗 5 (5) (ハヤカワ文庫 SF マ 8-110 氷と炎の歌 2)

  •  ジョージ R.R.マーティン/

  • 販売元/出版社 早川書房

  • 発売日 2007-07


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とうとう最終巻。といっても第二部なので、全然話は完結していないけど。
いよいよ首都キングスランディングにスタンニス・パラシオンの軍勢が迫り来るわけで、ティリオンが孤軍奮闘。
合戦となるとサー・タヴォスが活躍をするのだけれども、こちらはスタンニス・パラシオンの軍勢で、孤軍奮闘するティリオンにも肩入れしたいところだけれども、たまねぎ騎士ことサー・タヴォスにもがんばってもらいたいわけで、どちらが勝つのかハラハラドキドキしながら読んでいったらそう来ましたか。
しかし、マーティン先生、勝った方にも情け容赦がなくって、毎度の事ながらよくもまあこんなに酷い仕打ちを与え続けるというか考えつくなあ。
一方、北の壁の向こうではジョンが健気に任務を果たしているなあと思っていたら最後にとんでもない展開を迎えるし、サンサはなんだか一癖も二癖もある人物とおかしな仲にになりつつあるし、スタンニス・パラシオンが勝利を治めるかと思いきや、ティリオンの親父のタイウィン・ラニスターがいきなりやって来てキングスランディングを救ってしまうわ、第三部が気になる終わり方だよなあ。  

2007年09月13日

火星の長城

火星の長城 (ハヤカワ文庫 SF レ 4-3 レヴェレーション・スペース 1) (ハヤカワ文庫 SF レ 4-3 レヴェレーション・スペース 1)

  •  アレステア・レナルズ/

  • 販売元/出版社 早川書房

  • 発売日 2007-08-25


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さぞかし分厚い短編集だろうなと期待をしていたのだが、二分冊になってしまったので非常に残念。しかも続きは年末とは……。
次々と翻訳されたニュースペースオペラの中では、その分厚さのために物理的に読み辛かったことを除けば、一番読みやすかったのがレナルズだったので、シリーズ三作目の長編も翻訳予定に入っているようだし、こうして次々と翻訳されるのはうれしいことだなあ。
しかし、読みやすいからといって、面白いのかというと必ずしも比例関係にあるわけではなく、本家ニュースペースオペラというか、70年代のニュースペースオペラと比べると少々こじんまりとしすぎている気もする。まあ70年代ニュースペースオペラといえばラリー・ニーブンの処作品を思い浮かべてしまうので、それと比べてしまうのは酷な話かも知れない。
で、読んでみると短いだけあって、といっても中編レベルの分量はあったりもするのだが、けっこう面白い。過剰な期待をしなければというかあくまでスペースオペラだとして読めば、かなり楽しめる。
もっとも、ちょっと醒めた目で見てしまうと、ニュースペースオペラといっている割には、話作りの方は実に古くさい。まるで新しい革袋に古い酒を入れたようだ。「氷河」なんて二十年くらい前に星野宣之が漫画で描いていそうな内容だったりもする。ひょっとしたら子供の頃に読んでワクワクしたSFを自分で描き直そうとしているんじゃないのかと思ったよ。微笑ましくっていいんだけどさ。
気になったのは「ダイヤモンドの犬」の素数の問題で、「1,3,5,7」で「素数だ」なんて言っているけど、それは「奇数」だ。素数だったら「2,3,5,7」だろ。それとも自分の知らないうちに「1」が素数の仲間入りしたんだろうか。
もっとも、登場人物たちが頭の良いように見えて実は馬鹿だったというひねくれたユーモアのつもりだったのかも知れないけど、まあ第一問目からして結果は正しかったけど過程が間違っているという凄い展開をしてくれたので大爆笑だった。  

2007年09月12日

王狼たちの戦旗(4)

王狼たちの戦旗 4 (4)

  •  ジョージ R.R.マーティン/

  • 販売元/出版社 早川書房

  • 発売日 2007-06


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前巻でも凄いことがあっさりと起こってしまったのだけれども、今巻でも凄いことがあっさりと起こってしまう。
晴れて自由の身となったというか故郷に帰ることが出来たシオン・グレイジョイ君なのだが、いろいろと画策していそうだなあと思ったら、そう来たか。
まるで明智光秀の三日天下のごとき展開だけれども、そこまで鬱憤が溜まっていたのか。とりあえずスターク家の本拠地くらいは安全だと思っていたら、安心して読むことが出来ない話だなこのシリーズは。
それにしてもブランとリコンはやっぱり死ぬのだろうか。ここで退場してしまっても全然おかしくないところが怖いところだけれども、死なせてしまうとせっかくの伏線が無意味になるので多分ブランの方は死なないだろうなあ。
一方で、三つの願いで三人の生殺与奪権を握っているアリアのパートはというと、とうとう三つ目の願いをかなえてもらう事になったのだけれども、こんな願い方をするとは思わなかったよ。うーむ、三つの願い系の話でこんな願いをした話って他にあったかな?
まあ、こんな願いをされたらびっくりするというか、いやなやつだと思うよなあ。  

2007年09月10日

王狼たちの戦旗(3)

王狼たちの戦旗 3 (3)

  •  ジョージ R.R.マーティン/

  • 販売元/出版社 早川書房

  • 発売日 2007-05


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兄弟どうしの戦いが始まるのかと思いきや、なんとまあ片方がいきなり脱落。そんな飛び道具をだしますかマーティン先生。
魔法なのかそれとも忍者のごとき能力者の仕業なのかは今の時点ではわからないけれども、それにしてもあっさり殺してしまうなあ。これで勢力バランスが大きく変化するのでどうなる事やら。
一巻を読んだ時点で、スターク家の末っ子あたりは脱落しそうだなんて書いたけれども、なんだかその通りになりそうな気配も漂ってきて、ほんとにそうなるのだろうか。一方で長男のロブ視点の章が無いことに気付いたわけなんだけど、これってやっぱり長男もいずれ脱落してしまうのかなあ。もっとも視点の章を持っている人物だからといって最後まで生き延びる保証もないわけなんだけれども。
それにしてもアリアの物語がなんだか面白くなってきました。いや一人社会の底辺を這いつくばされているわけなんだけど、三つの命の生殺与奪権をいきなり与えられて、誰を殺すのかって凄いことになっているなあ。  

2007年09月06日

王狼たちの戦旗(2)

王狼たちの戦旗 2 (2)

  •  ジョージ R.R.マーティン/

  • 販売元/出版社 早川書房

  • 発売日 2007-04


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ようやくデーナリスが登場したのだが、生きているのが不思議というか作者によってかろうじて生かされているかのような酷い状態。とりあえず希望の光らしきものが少し見えて、もうちょっとは生きながらえそうな感じなのでひと安心といったところ。
ティリオンの方はといえば、仲間がそろいつつあるとはいえどもただ一人、孤軍奮闘の真っ最中で、この先大きな試練が待ちかまえていそうな感じである。
スターク家の子供たちの中でただ一人、作者におもいっきり酷い仕打ちを受けているアリアは、仲間がどんどんと物語から退場していき、前王の私生児と行動を共にしているとはいえ、この先一体どんな試練が待ちかまえているのだろうか。
海を渡った先でデーナリスの物語が展開している一方、北の壁の向こうでもなんだか怪しげな雰囲気が漂い始めて、七王国の争いだけでも読んでいて混乱するほど複雑なのに、これ以上話を複雑にしてどうするんだといいたくもなる。
しかし、まあそんなとこまで書くのかといいたくなるほど、何一つ書き漏らさず執拗に描いているんだよなあ、この作者は。  

2007年09月04日

王狼たちの戦旗(1)

王狼たちの戦旗 (1)

  •  ジョージ・R.R.マーティン/岡部 宏之/

  • 販売元/出版社 早川書房

  • 発売日 2007-03


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最終巻が出てからまとめて読もうなどとは思ってなかったんですが、ついつい他の本のほうばかり先に手を出してしまって、結局はまとめて読むことになってしまいました。読めば面白いことはわかってはいるんだけれども、記憶力と読書力の衰えを感じ始めた今日この頃、登場人物の多さと話の長さに躊躇してしまうところがあるんだよねえ。
スターク家以外の人物からの視点も増えて、とにかくいろんなところでいろんな人々が何かしらの企みを持っていることがわかるわけで、人の数だけ物語が存在するのだというこということをあらためて実感したというか、実感できる物語になっていて、ある意味非常に生々しく、よくもまあここまで書き込んだものだと感心するばかりです。
もっとも視点人物が増えたからといって、その人物が最後まで平穏無事に過ごすことができるのかといえばそんなことはなく、スターク家の人々だって物語の最後まで生き延びる保証がないわけで、特に末っ子あたりは途中で退場してしまうそうな感じがしてならない。