2007年08月29日

輝くもの天より墜ち

輝くもの天より墜ち (ハヤカワ文庫 SF テ 3-6)

  •  ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア/

  • 販売元/出版社 早川書房

  • 発売日 2007-07


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予想外に分厚かったの怯んでしまったんだけど、晩年のティプトリーの作品だっただけあってごく普通の書き方で、読みやすかったので安心。
舞台となる館の見取り図やら部屋割、<ザ・スター>の接近図、そして巻末には用語集と<ザ・スター>の通過図と至れり尽くせりのおまけが素晴らしい。で、目次を見れば章タイトルがカウントダウンのサスペンスを煽っている始末で、否が応でも期待感が高まるのである。
で、読んでみるとどうなのかといえば、なんだか普通に展開していく。というかなんだかいびつなのである。ティプトリーらしい部分もしっかりと存在していて、ああ確かにティプトリーの書いた話だと思うのだが、心のどこかでは、こんなのティプトリーじゃないと否定したい気持ちがあったりする。
もの凄く旨いけれども湿気った煎餅を食べているような気分なのである。
おまけに事件が解決してからが長い。ひょっとしてこの後でとんでもない大どんでん返しがあるのではないだろうかと思ったくらいだ。ジェフリー・ディーヴァーならば10回ぐらいどんでん返し行っていただろう。というか前半と後半でトーンががらりと変わってるよこの話。
しかし、ティプトリーが書きたかったのはこういう話で私が読みたかったのはこういう話ではなかったというだけである。  

2007年08月16日

白き狼の息子

白き狼の息子

  •  マイクル・ムアコック/

  • 販売元/出版社 早川書房

  • 発売日 2007-03


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『スクレイリングの樹』が今ひとつ楽しむことができなかったので、積読のままだったのだけれども、このままではいかんと気合いを入れて読みましたよ。
今回の主人公はフォン・ベックではなくってその孫。携帯電話やメールといった単語が飛び出すあたり、凄まじい状況にあるわけですが、地下世界へと逃げ込んだ孫娘と行動を共にするのが、狐のルニャール卿であるところがさらに凄い。これはムアコック版『不思議の国のアリス』なんじゃないかと思ってしまったわけで、もはやこれがエルリック・サーガなのかと、いやエルリック・サーガである必要性があるのかと思うのだけれども、もう何でもアリだな。オーニソプターが登場したあたりで、宮崎駿にアニメ化させてもいいんじゃないかと思ったよ。
後半になると舞台は暗黒帝国へと移り、<ホークムーン>シリーズを読んでいない身としては、そこに書かれているであろう面白さが半分も理解出来ない状態と化してしまって、まあ知らなくってもそれなりに楽しめたんだけれども、何でも一つの世界にまとめてしまおうって人の書いた本を読むのは、全部読んでおかないと楽しめないので大変なことでもある。
暗黒帝国の人々が仮面をかぶっているという設定を読んで、ジャック・ヴァンスを思い出したんだけれども、ムアコックはムアコックで、ヴァンスのような話にはやっぱりならなかった。  

2007年07月25日

スロー・バード

スロー・バード―イアン・ワトスン傑作集

  •  イアン・ワトスン/大森 望/

  • 販売元/出版社 早川書房

  • 発売日 2007-06


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いくら面白い本であっても、その本を面白いと思う人間がごくわずかな人数でしかなかったら、あっというまに絶版になってしまう。そもそも17年前に始めてこの本が出版されたときに、この本を面白いと思う人間の中に入っていたかもしれない自分自身がどうだったかといえば、その当時は長編至上主義的な状態だったので、短編集には目もくれないとまでは行かないけれども、まあ二の次だったりする。自分が当時この本を買っていたら絶版になどなっていなかったなどということはないのだけれども、ほんのわずかではあるけれどもなんとなく責任を感じたりするのである。
というわけで、今回めでたく復刊したこの本を買ったわけだが、やっぱり瞬く間に絶版になってしまうんだろうなあ。
そもそも物語としては面白くも何ともないよワトソンって。まあその代わりにとんでもない馬鹿アイデアがあるんだけれども、今回の復刊ではそのアイデアが古びてしまっていないかちょっと心配だった。
しかし、そんな心配などする必要もないというか、侮りすぎていたよイアン・ワトソンを。「超低速時間移行機」とか「スロー・バード」とか、なんでそんな方向へ話を持っていくのだと呆れるばかり。「二〇八〇年世界SF大会レポート」なんて実にバカバカしい話なんだけれども、読んでいて涙が出てきた。だって世界が崩壊してしまってもSF大会を開いているのだ。参加者は崩壊した世界であらゆる苦難を乗り越えて開催地を目指すのである。しかもあまりに困難なために数年おきにしか開催できない状況になってもだ。そして彼らはそんな状況でも宇宙を夢みているのである。  


2007年07月16日

サムサーラ・ジャンクション

サムサーラ・ジャンクション

  •  ジョン・コートニー・グリムウッド/

  • 販売元/出版社 早川書房

  • 発売日 2007-06


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一体どうしてしまったんだろうこの表紙は。とてもじゃないけれどマーティンの『七王国の玉座』やアンダースンの『折れた魔剣』の表紙を描いた人と同一人物とは思えません。
ボスニア紛争に憤慨した作者が怒りに身を任せて一気に書き上げたというだけあって、作者の感情むき出しの内容。しかしそれがあくまで背景描写だけで収まっており、登場人物に主義主張を言わせていないところが救われている。もっとも、そのせいでかなりあくの強い内容になっており、それを受け入れることが出来るか出来ないかで評価が変わってしまうだろう。なにしろ、スピード感あふれるといいつつも、物語が見え始めるまでの助走部分に100ページ近くも費やされるし、主人公も殺し屋という設定でありながら、プロローグにあたる部分で、暗殺任務に半ば失敗して警官に袋叩きに合うは、任務が始まったら始まったで、眼球をえぐり出され、難民に見せかけるために一週間以上眠らされて、骨と皮の状態にさせられるのである。話が進んでも生きているのが不思議なくらいの目に遭わされて、カタルシスなど何もない。作者が感じた憤りを感じ取ることが出来るかどうかが全てだ。
もしくは、全てを笑い飛ばすかである。
しかし、ボスニア-サラエボつながりを目論んだのか、『虐殺器官』と同じ月に出したのは失敗だったよなあ。あちらと比べると分が悪すぎますよ。  


2007年06月25日

ゴールデン・エイジ 2 フェニックスの飛翔

ゴールデン・エイジ (2)

  •  ジョン C.ライト/

  • 販売元/出版社 早川書房

  • 発売日 2007-05


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1巻目では600ページも費やしながらも物語としてはほとんど何も進んでいないという状況だったけれども、この巻でも似たようなもの。いろいろと翻弄されるけれども、大枠の物語は全然進まない。
それというのもこの話が数千年もの未来の話で、その間に起こった様々な出来事が今回の事件に影響を与えている以上、どうしても数千年の間に起こった出来事を説明しなければならない。どおりでこんなにも長い話になるわけだとも思ったんだけど、どちらかといえばそういう設定の部分を作者が語りたがっているだけのような気もする。
前巻でも法律や契約というものにがんじがらめにされていた主人公なんだけれども、今回も追放の身になっても契約やら約束やらに振り回されている。そしてそういった部分が律儀に語られるので、どうやらこの作者、そういう手続きの部分をおろそかにしないタイプの人らしい。確かに話が長くなるわけである。
もっとも、これは作者の性格だけではなく主人公の性格にもよる部分があって、今回も主人公はいろいろと悩みまくるのだ。ますますもって話が進まないのだが、なんとか宇宙船を手に入れるところまではたどり着いた。後もう少しである。  


2007年05月28日

銀色の恋人

銀色の恋人

  •  タニス・リー/

  • 販売元/出版社 早川書房

  • 発売日 2007-04


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神林長平の作品を読み、タニス・リーの作品も読む人がどのくらいいるのか判らないけれど、神林長平の『膚の下』を読んだ後ではさすがにこの作品は分が悪かった。
思っていた以上にSFっぽい設定というかSFらしいガジェットが満載で細部がけっこう楽しく、そういった部分に手を抜かないあたりがタニス・リーの凄いところなのかも知れないなあと思わされたりもする。特に主人公が母親だけによるデザインベイビーであるあたり、そしてその主人公がロボットに恋をするという展開。おお、これは作られたものどうしの恋愛物語でもあるのか、などとちょっと過剰な期待をしたりもしてしまったわけです。
もっとも作者がそこまで考えていたのかどうかはわからないけれども、そういう思わせぶりな要素があちらこちらに見え隠れしながらも、結局は恋愛物語という王道から一歩も足を踏み外さなかったところが凄い点でもあり、物足りない点でもある。
しかし、ウィジャ盤が最後の最後であんな使われ方をするとは思わなかったよ。こいつは強烈な使い方だよなあ、魂があるかどうかじゃなくって魂はあるという前提の上での話で、魂があれば恋も出来るという話だったのか。いやそういう事なら、些細な問題にたいして文句なんていいませんよ。
ウィジャ盤といえば、クラークの『幼年期の終り』が印象に残っているんだけれど、あれは1953年の作品で、これは1981年。海外でもウィジャ盤はそれなりに人気があるのか。  

2007年05月22日

ストーカー

ストーカー

  •  アルカジイ・ストルガツキー/ボリス・ストルガツキー/

  • 販売元/出版社 早川書房

  • 発売日 1983-02


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この小説の存在を初めて知ったときその十数年後、別の意味の言葉として広く知れ渡ることになるとは思ってもみませんでした。
まあこの小説での意味だって密猟者という意味で用いられているので、どっちにしたっていい意味の言葉ではないのですが。
人知れず<来訪者>が地上に降り、そして立ち去った後だとされる場所。<来訪者>が来るまではごく普通の田舎町のひとにぎりの土地だったのに、重力異常な場所や突如として高熱の熱風が吹き荒れたりする奇怪な場所と化してしまう。そしてそこには<来訪者>が残していったと思われる遺物があった。その場所は<ゾーン>と呼ばれ軍の管理下におかれたけれども、<来訪者>の残していった遺物は裏で金になった。ストーカーたちは身の危険を省みず<ゾーン>に侵入して遺物を持ち帰る。
フレデリック・ポールの『ゲイトウェイ』とも似た設定だけれども、雰囲気は全然違います。最後まで<来訪者>の正体も<ゾーン>の謎も解明されることはなく、解明しようとし続けている人たちの存在は描かれるのですが、話は一人のストーカーの生き様に終始し、決して外の世界へと広がろうとはしないのです。レムの『ソラリス』を引き合いに出してもいいんだけれども、あれとは違い、作者の視点はあくまで人間だけに注がれています。
<ゾーン>を西欧諸国、遺物を西側の製品として置き換えてみると、この話が当時の旧ソ連の状況をとらえた話としてみることも可能だし、そう考えるといろいろと興味深い部分も出てくるのですが、いや、そこまで考えなくってもハードボイルド風な雰囲気といい、面白い話です。  

2007年05月07日

今宵われら星を奪う

今宵われら星を奪う

  •  ジョン・ジェイクス/

  • 販売元/出版社 早川書房

  • 発売日 1979-10


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時代設定的には前作『星界の王死すとき』よりも昔の話で、主人公も前作の祖先だったりするけれども、時代が離れているせいもあってどちらから先に読んでも構わないし、どちらか一方だけ読んでも構わなかったりもする。
まあそんなわけだから、シリーズ全体を通しての大きな謎が残されているわけでもなく、今日現在まで三作目が翻訳されないままでいるのけれども、それはそれでまあいいかという気にもなってしまう。
で、星を奪うなんていう題名からしてさぞかし凄い事が起こるんだろうなあとちょっと期待していたらこれが期待はずれで、星というのが宝石のこと。惑星を盗むというスケールのでかい話ではなく、宝石泥棒の話でしたよ。
しかし、単純な宝石泥棒の話ではなくその裏では陰謀が渦巻いていたりするんだけども、今の基準でいえば裏で渦巻く陰謀などはあって当たり前といった設定でもあるので、それほど驚く話でもなく、前作よりはハッピーエンドなので後味はいいんだけれども、わりと普通に話が進んでいくのでどちらかといえば前作の方が楽しめたなあ。  

2007年03月23日

星界の王死すとき

星界の王死すとき
ジョン・ジェイクス著 / 野田 昌宏訳
  

2007年03月02日

老人と宇宙

老人と宇宙(そら)
ジョン・スコルジー著 / 内田 昌之訳
  

2007年02月02日

アイアン・サンライズ

アイアン・サンライズ
チャールズ・ストロス著 / 金子 浩訳
  

2007年02月01日

夢盗人の娘

夢盗人の娘
マイクル・ムアコック著 / 井辻 朱美訳
  

2007年01月22日

ひとりっ子

ひとりっ子
グレッグ・イーガン著 / 山岸 真編・訳
  

2006年12月05日

竜を駆る種族

竜を駆る種族
ジャック・ヴァンス著 / 浅倉 久志訳
  

2006年12月01日

七王国の玉座(5)

七王国の玉座 5
ジョージ・R.R.マーティン著 / 岡部 宏之訳
  

2006年11月24日

七王国の玉座(4)

七王国の玉座 4
ジョージ・R.R.マーティン著 / 岡部 宏之訳
  

2006年11月17日

七王国の玉座(3)

七王国の玉座 3
ジョージ・R.R.マーティン著 / 岡部 宏之訳
  

2006年11月10日

七王国の玉座(2)

七王国の玉座 2
ジョージ・R.R.マーティン著 / 岡部 宏之訳
  

2006年11月03日

七王国の玉座(1)

七王国の玉座 1
ジョージ・R.R.マーティン著 / 岡部 宏之訳
  

2006年11月02日

ゴールデン・エイジ 1 幻覚のラビリンス

ゴールデン・エイジ 1
ジョン・C.ライト著 / 日暮 雅通訳