2007年11月29日

雪沼とその周辺

自分ではわりと翻訳物を読んでいるつもりでいたのだけれども、それはつもりでしかなく実際はあまり読んでいないのではないのかと気になったことがあった。
で、記憶にある範囲内で自分の所有している本のうち翻訳物がどのくらいあるのかを調べてみた。まあ実際には所有している本の比率よりも読んだ本の比率の方が大事なわけでそちらのほうを計算しなければいけないわけだが、積読本もたくさんあるのだ。そしてそれ以上にやっかいなのが、読んだことは確かだがどんな内容なのかきれいさっぱり忘れてしまっている本もたくさんあるということである。記憶に残っていない本など読んでいないのと同様である。
しかし、そこまで細かく規定しようとすれば、読んだうえでその内容を覚えている本でありそれが著者の意図した通りの正しい読み方をしたものである本ということになるのだが、そうなると何も読んでいないに等しいのではないのだろうかと思う。
うーむ、話をわざとおかしな方向へとねじ曲げてしまったらどんどんと最初の趣旨から離れていってしまいそうになったので、元に戻そう。
とにかく、正確なデータが欲しいわけではないし、客観的な事実のみで答えが知りたいのであるからして所有している本の割合だけで計算してみることにした。
そうしたら驚いた。
翻訳本は四割強といった程度で過半数を超えていなかったのである。
あくまで記憶にある範囲内における比率であるからして記憶にない物を加えれば過半数を超える可能性もなきにしもあらずなのだが、多分無いだろう。
しかし、ここでふと気がついた。
日本の出版点数のうち、翻訳物の比率はどのくらいなのであろうか。
この比率が四割であったとしたら、国内・国外まんべんなく読んでいるということになるのではないだろうか。というわけでネットでちょっと調べてみたら、2004年では翻訳物の比率は8.9%というデータがあった。どうやら10%以内の比率であるらしい。
なんだそう考えると海外作家を重点的に読んでいるんじゃないかなどと、何に安心したのかわからないがとにかくひと安心したのもこの本を読むまでの話だった。
というわけでようやく本題の方に戻る。最初からこの部分から書き始めれば良かったわけだし、脱線しかけて無理矢理話を元に戻すなどというみっともない事までしてここまで書いてきて、消してしまおうかと思う気もしないでもないのだけれども、みっともない文章など今までも垂れ流し続けてきたわけで今更恥ずかしがることなど何もない。せっかく書いた文章を消すのはもったいないのでこのまま行こう。
国内の作家に関していえば、伊井直行の『濁った激流にかかる橋』とか、辻原登の『枯葉の中の青い炎』とか、松浦寿輝の『もののたわむれ』とか最近驚くほど凄い本にぶちあたり続けている、ただし辻原登で『枯葉の中の青い炎』を挙げるのはちょっと反則で新しく読んだのは『だれのものでもない悲しみ』の方であるが、それはともかくどの作家も守備範囲のSFとミステリ以外のジャンルからだ。
もっとも守備範囲以外のジャンルの本を読んで凄いなあと感心するのはこれが初めてというわけでもなく、だったらそんなこと書くなと言われそうなのだが、まあ何を書いてもいいではないか、自分のブログなんだから。読みたくなかったら読むな。
えー、どんどん話がわき道に逸れてしまうのでまた元に戻す。結局何を言いたいのかと言えば、堀江敏幸の『雪沼とその周辺』を読んであまりの凄さに腰を抜かし、海外の作家ばかりにうつつを抜かしている場合じゃないなと思ったということである。だったらここから書けば良かったじゃないのか、さっきの「本題の方に戻る」は何だったのだといいたい気持ちも良くわかる。しかし「本題の方に戻る」であって、「本題に戻る」ではない。
25ページほどの短い文章の中で、たいして何か事件が起こるというわけでもなく、といっても寄る年波に勝てず長年経営してきた小さなボーリング場をたたむ経営者がいたり、レコード盤を扱ったら天下一品だけれどもCDが普及したとたん客の好みが読めなくなりレコード店を辞める羽目になってしまった男がいたり、話の冒頭で突如謎の言葉を残して死んでしまう老女がいたりと、わりと読み手の興味を引く出来事は起こるのである。
しかし表層的なレベルで流れる時間はごくわずかな時間であるのにその間で過去にさかのぼって恐ろしいほどの密度の時間が描かれるのである。
一編一編を読み終えて、今自分が読み終えた物語はいったい何だったのだろうと、読み終えたばかりであるのにもう一度読み返したくなる話だ。

雪沼とその周辺 (新潮文庫 ほ 16-2)

  •  堀江 敏幸/

  • 販売元/出版社 新潮社

  • 発売日 2007-07


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2007年09月28日

フィンガーボウルの話のつづき

フィンガーボウルの話のつづき (新潮文庫 よ 29-1)

  •  吉田 篤弘/

  • 販売元/出版社 新潮社

  • 発売日 2007-07


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この本の中で「世界の果てにある食堂の物語を書きたい」という話が出てくるんだけれども、これって『つむじ風食堂の夜』と関係があるのかなと思って調べたら、どうやら関係があったらしい。
というか、文庫化されたのは『つむじ風食堂の夜』の方が先だったんだけれども、小説としてはこちらの方が先に出ていて、この本の中の「世界の果てにある食堂の物語」というのが『つむじ風食堂の夜』になるということだ。
そういえば『クラウド・コレクター』に出てきたゴンベン先生もこの本に登場するし、吉田篤弘の書く物語はどうやら緩やかに繋がっているらしい。
それにしても吉田篤弘という人はなんて魅力的なガジェットを作り出すのがうまいんだろうか。役目を終えたレインコートがたくさん眠っているレインコート博物館とか。「白鯨詩人」なんて言葉もなんだか魅力的で、殺し屋と間違えられるクロス屋などはたんなる駄洒落に過ぎないのだけれども、吉田篤弘の手に掛かると不思議な魅力を放ち始めるのである。
ああ、それにしても先にこちらの方読んでおけば良かったと少し後悔する。こちらを先に読んでおけば、『つむじ風食堂の夜』ももっと面白く読めただろう。  

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2007年02月23日

寝ても覚めても本の虫

寝ても覚めても本の虫
  

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2007年01月15日

東京夜話

東京夜話
いしい しんじ著
  

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2006年11月21日

十一月の扉

十一月の扉
高楼 方子著
  

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2006年10月24日

家守綺譚

家守綺譚
梨木 香歩著
  

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2006年09月27日

夜の回帰線

夜の回帰線 上巻
マイケル・グルーバー〔著〕 / 田口 俊樹訳

夜の回帰線 下巻
マイケル・グルーバー〔著〕 / 田口 俊樹訳
  

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2006年09月13日

重力ピエロ

重力ピエロ
伊坂 幸太郎著
  

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2006年09月11日

いしいしんじのごはん日記

いしいしんじのごはん日記
  

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2006年08月08日

人生激場

「わしズム19号」に掲載されているこうの史代の「古い女」を読んで、あらためてこうの史代の凄さに驚愕する。
最後の一コマで全てが逆転する有様は背筋がゾクリと来た。しかしほんとに凄いのはその後の作者の写真であって、いやそこまで計算していたのかこの人は。

とまあ、一瞬で頭がすっきりしてしまったわけですが……。

人生激場
三浦 しをん著
  

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2006年07月24日

最後の晩餐の作り方

ダン・シモンズの「イリアム」を読み始めました。分厚いとのことでしたが、「エンディミオンの覚醒」より薄かったのでちょっと安心。しかしその後には「カズムシティ」が控えているし、軽そうな内容なので気分転換に丁度いいかなとおもっていた「ティンカー」だって600ページ越えていて、なんだか罰ゲームをくらっているような感じです。

まあ、それとは全然関係ないけど……。

最後の晩餐の作り方
ジョン・ランチェスター〔著〕 / 小梨 直訳
  

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2006年07月10日

太陽の塔

太陽の塔
森見 登美彦著
  

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2006年06月21日

青猫家族輾転録

青猫家族輾転録
伊井 直行著
  

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2006年05月04日

トリツカレ男

悪漢と密偵さんのところで、「きみがぼくを見つけた日」がオードリー・ニッフェネガーの「タイムトラベラーズ・ワイフ」の文庫版であることを知り驚く。文庫化されたら読んでみようと思っていたのだけれども、まさかこんなにも早く文庫化されるとは……、しかも改題されて。普段チェックしていない所なので危うく見過ごす所でした。
本読みと受験生と本読み・その後(仮)さんのところで、新潮文庫の背表紙のことを知り驚く。
一冊目の初版のみ背表紙が白で二冊目以降もしくは重版されると背表紙に色が付くなんて気付かなかったよ。なんか変だなとは思ってたけど。

で、この本も新潮文庫の一冊。

トリツカレ男
いしい しんじ著
  

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2006年02月25日

撓田村事件―iの遠近法的倒錯

撓田村事件
小川 勝己著
  

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2006年02月23日

五瓣の椿

五弁の椿
山本 周五郎著
  

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2006年01月28日

ぬしさまへ

ぬしさまへ
畠中 恵著
  

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2005年12月24日

博士の愛した数式

博士の愛した数式
小川 洋子著
  

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2005年11月17日

黄色い目の魚

黄色い目の魚
佐藤 多佳子著
  

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2005年10月01日

星新一 二冊

ふしぎな夢
天国からの道

出版芸術社から出ていた「気まぐれスターダスト」を二分冊にし、「ショートショート1001」のみの収録されていた6篇を追加した本です。

その昔、ベートベンが若かりしころに作った習作を、未発表の「第10交響曲」として演奏会が行われたとき、星新一は終演後「習作というのは生きているうちに始末しておかないと大変なことになるな」と言ったといいます。
表題作「天国からの道」は同人誌から発掘された「天使考」の原型、つまり習作です。
星新一ファンとしてはうれしい反面、星新一の言動を知る身としては、発掘などされずに埋もれたままだったほうが良かったとも思うのですよ。
オビに「『ブランコのむこうで』の次に読むのはこれ」などと書かれてはいるものの今まで本になるときに漏れていた作品を集めた拾遺集なので、ファン以外は無理して読む必要もない、むしろこれ以外の本を選んだ方がいい。
とはいうものの、この2冊で星新一のさまざまな側面を見ることができるのは確かではある。とくに「火星航路」などは、こんな話も描いていたのかと驚きました。  

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