2007年12月28日

ミサゴの森

ミサゴの森

  •  ロバート ホールドストック/

  • 販売元/出版社 角川書店

  • 発売日 1992-04


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遅ればせながらようやく読み終える。
読み終えてというか読み始めて直にわかったけど、長いことこの本を読まずに来ていた理由がよくわかった。
内容としては興味があるんだけれども、やっぱりこの手の話は自分の好みの話ではないのだ。なので、読もうとすると気合いを入れて読み始めないと途中で脱落してしまうのである。
それほど大きな森ではないのに、中へ入ろうとずんずんと進んでいくといつの間にか森のまわりをぐるっと回って元の場所に戻ってしまう。飛行機で上空を飛ぼうとすると乱気流が発生してどうしても上空を飛ぶことが出来ない。で、その森の中で何が起こっているのかと言えば、神話が具現化しているのだ。この森に何故そのような力があるのかなどという方向へは向かわず、ただひたすらに森の持つ力と神話との結びつけが行われる。そのあたりが自分好みでない部分なんだろう。そもそもここで語られる神話に何の思い入れもないのである。
で、それと同時に何が起こっているのかといえば、父と兄と、主人公である弟が一人の少女を求めて争っているだけなのだ。まあこの少女というのがこの森で発生したミサゴという存在で人外のものなんだけれども、親子の愛憎物語ではそこには僕の求めるワンダーが全く無いのだ。というかこの物語をSFとして読もうとしている時点で既に間違っているのだろうけど。
もっともこういう親子三人、三つどもえの愛憎物語は嫌いじゃないのでどうなるのかとハラハラドキドキしながら読んだわけだが、なんだかうまいこと作者にはぐらかされてしまったような感じだ。というかこの物語を愛憎物語として読もうとしている時点で何かが間違っているのだけれども。
積み残した謎がまだいくつか残っているので続編の翻訳を待ちたいところなんだけれども、さすがは売れなければ続きは出さない角川書店である。カードの<アルヴィンメイカー>シリーズやイアン・M・バンクスの<ゲーム・プレイヤー>シリーズ、ランドル・ギャレットの<ガンダーラ・サイクル>シリーズなどなど、その他にもいっぱいあるけど、どこか他の出版社が続きを引き受けてくれないものだろうか。

と嘆く前に、積読のままになっているイアン・マクドナルドの『黎明の王 白昼の女王』とジョン クロウリーの『リトル、ビッグ』を片づけないといけないなあ。  

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2007年11月30日

北村薫のミステリびっくり箱

北村薫のミステリびっくり箱

  •  北村 薫/

  • 販売元/出版社 角川書店

  • 発売日 2007-11


Amazon/楽天ブックス




なんといっても付録のCDが圧巻。
江戸川乱歩に対する約四十分のインタビューが丸ごと収録されているのだ。他にも横溝正史原作の「びっくり箱殺人事件」の文士劇の冒頭部分一部や、田村隆一の結婚式の引き出物として作られた伝説のレコード「城ヶ島の雨」に吹き込まれた江戸川乱歩の歌、甲賀三郎の自作朗読もある。田村隆一の結婚式って、結婚相手が決まってもないのに結婚案内状をばらまいたという例のアレだろ?
どちらが良いという優劣を付けることはできないが、活字として読むのと音声で聞くのとではやはり違いがあるわけで、音声として聞くと活字で読んだだけでは気付かない新たな発見があったりする。中でも驚いたのは、文士劇の中で、山田風太郎が「やまだかぜたろう」と言っていたことだ。その時だけのお遊びだったという可能性も無きにしもあらずだが、当時は「ふうたろう」じゃ無かったのか。知らなかったよ。
付録のCDに圧倒されてしまって肝心の本編の方はというとまあどうでも良くなってくる。「嘘発見器」の章での北方謙三に対する質問とその返答が笑えたぐらいかな。

大沢在昌と穴兄弟って本当? YES

くだらなすぎて素晴らしい。  

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2007年10月31日

遠まわりする雛

遠まわりする雛

  •  米澤 穂信/

  • 販売元/出版社 角川書店

  • 発売日 2007-10


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こうして<古典部>シリーズの短編集が一冊の本としてまとまったのは何ともいえないうれしさである。
最高の学園祭小説でもあった『クドリャフカの順番』が出たときにも感慨深いものがあったが、<古典部>シリーズの短編の場合、雑誌に一編きりだけ発表された後、続きの見通しが全くないまま放置状態だったことを思うとよくまあここまでたどり着いたものだと思うのである。
短編だけあって、一つ一つの謎は小粒だが、時間的には「氷菓」事件の後の話から、「女帝」事件を経て「十文字」事件を通り越しての一年間という期間を扱っているため、登場人物たちの心の移り変わりが絶妙の隠し味というか全然隠していないので主題に近い形にはなっているが、そこのところが一番の見所だったりする。
特に、前作で主人公の棒太郎以外の視点描写があったりしたことから、今回も棒太郎だけではなくそれ以外の古典部の面々の心模様が描かれていて、年老いて青春などという言葉から遠く離れてしまった身としては、微笑ましく感じてしまう。
もっとも、米澤版「九マイルは遠すぎる」といった感じでもある「心あたりのある者は」などというなかなか侮れない話もあったりするので、ミステリとしても楽しめる。
ああ、それにしても<古典部>シリーズだけは例外にしてほしいなあと思っていたんだけど、最終話のあの展開、うーむ、成長すれば手厳しい現実を与えようとするのだろうか、やっぱり。  
タグ :米澤穂信

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2007年10月10日

世界の涯まで犬たちと

世界の涯まで犬たちと

  •  アーサー・ブラッドフォード/

  • 販売元/出版社 角川書店

  • 発売日 2007-09


Amazon/楽天ブックス




SFマガジンに掲載されたことがあったので、しかも翻訳は小川隆だったしで、てっきりSF作家だと思いこんでしまっていた。
で、実際のところはSF作家でもなくって、まあ単に不思議な話を書いているというだけで、しかも作家として活躍をしようと思っているわけでもなく、後は長編が一作書くことができればそれでいいなあなどと思っている人らしい。
そんな感じの人が書く話がどんな感じの物なのかといえば、ああなるほど、そんな感じの人が書く話だった。
何かに熱中するわけでもなく、真面目に働くわけでもなく、かといってまるっきり働かないわけではなく、お金が無くなったら働くというレベルだ。ひねもすのたりのたりかなといった塩梅で、とりとめもない話ばかりなのだけれども、かといってつまらないのかと言えばそうでもなく、では面白いのかというとそうでもない。
「ドッグズ」のような親子四代に渡る奇妙な話もあるのだけれど、それ以外はそれほど不思議なことは起こらない。しかし、作中で流れる時間の流れ方、漂う空気感が読んでいてなんとなく面白いのである。  

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2007年05月29日

前巷説百物語

前巷説百物語

  •  京極 夏彦/

  • 販売元/出版社 角川書店

  • 発売日 2007-04


Amazon/Bk1/楽天ブックス


『続巷説百物語』で又市の物語は幕を閉じ、『後巷説百物語』で一応の完結となったので、まさかこのシリーズの新作が出るとは思わなかったのですが、なるほど、『巷説百物語』よりも前の話という設定ですか今度は。
京極版『必殺仕掛人』とでもいえるこのシリーズなんだけれども、妖怪の仕業と思える出来事を人が起こした事件へと解体していく<京極堂>シリーズとは逆に、人が起こした事件を妖怪が起こした出来事へと転換させてしまうのがこのシリーズの特徴。長編ではなく中編という分量のせいか、はたまた基本パターンが決まっていてどの話もそのフォーマットに乗っ取って書かれているせいなのか、<京極堂>シリーズがだんだんと期待しない方向へと変化していったのにたいして、こちらの方は今まで通りなので安心して読むことが出来る。
又市がまだ御行となる前の若い頃の話なので最初のうちは多少違和感を感じたりもしたけれども、又市の成長していく過程、というよりも後の又市へと変わっていく過程の物語としてなかなか面白いのだが、700ページ以上もありながら会話主体なので、あっという間に読み終えてしまう点がちょっと物足りない点である。  

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2007年03月21日

チョコレート・ゴシップ

チョコレートゴシップ

  •  森橋 ビンゴ/

  • 販売元/出版社 角川書店

  • 発売日 2007-03


Amazon/Bk1/楽天ブックス

ラビオリ・ウエスタン」と同時期に出たこの本。「ボク」と「チョコレートケーキ」にまつわる短い文章を枕にして語られる四つの恋の物語。どんな話が繰り出されるのかと思ったら……。
いきなり変化球やらビンボールやら魔球の連投、ラノベの制約を外したらいきなりこんな設定持ち出してくるのかこの人はと思ったよ。
第一話の主人公はゲイで彼氏と同棲中。そんな主人公にたった一度の過ちで子供が出来てしまう。男にしか興味のない主人公だけれどもたった一人好きになった女の子がいたのだ。しかし相手の女の子が主人公のことを好きだったのかといえばそうではなく、女の子が好きだったのは主人公の彼氏の方だったというどうしようもなく泥沼化しそうな設定。
第二話の主人公はゲイではないけれども女装癖の持ち主。そしてふとしたことで知り合った12歳の女の子に「変態」と罵られることに快感を覚え、奇妙な関係が続く。この第二話に比べれば残る二話はまだおとなしい設定になるかもしれないが、ここまでくると変化球というかビンボールというか魔球というか、いや、ボールを投げているようにみえながら実際のところ何もしていないんじゃないのかとも思えてくる。
しかしここまで変な設定でありながらも話は暗くはならず、しっとりとはしているけれどもけっしてじめじめせず、読後感はぜんぜん悪くはなく、やはりいつもの森橋ビンゴなのだ。
で、問題は各話の最初に置かれた「ボク」と「チョコレートケーキ」にまつわる二ページほどの短い話だ。
最後まで読めば好み次回話がメインの四つの話と結びつくのだろうと思っていたら、四番目の「ボク」と「チョコレートケーキ」の話を読んで驚いた。
何のことはない、これは物語に見せかけた作者のあとがきだったのだ。いつもあとがきで書いていた事柄を、まさかこんな手を使ってまで書いてくるとは思ってもみなかったよ。  

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2007年01月05日

夜は短し歩けよ乙女

さて、いつまで続くのかはわかりませんが、今年もぼちぼちと読んだ本の感想という形で書きたいことを淡々と書き連ねていくことといたします。記事の更新は去年と同様、毎週月曜日から金曜日まで12:30分に行いますが、更新されなかった場合は、まあ大目にみてやってください。
去年はその後、二冊読み終えることが出来たので、ひと安心といいたいところだったのですがそれでもまだ七冊も未読本が残ったままなので全然安心などしていられません。

で、今年最初の本はというと……。

夜は短し歩けよ乙女
森見 登美彦著
  

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2006年09月15日

海辺でLSD

海辺でLSD
川島 誠著
  

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2006年07月18日

少女七竈と七人の可愛そうな大人

少女七竈と七人の可愛そうな大人
  
タグ :桜庭一樹

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2006年02月15日

アムネジア

アムネジア
稲生 平太郎〔著〕
  

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2005年10月26日

暴走する物語

シャングリ・ラ
池上 永一著
  

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2005年07月12日

クドリャフカの順番

クドリャフカの順番
  

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2005年07月11日

SPEED

SPEED
金城 一紀
  

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