2008年03月31日

一日 夢の柵

一日 夢の柵

  •  黒井 千次

  • 販売元/出版社 講談社

  • 発売日 2006-01

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いつの間にか中年と呼ばれる歳になってしまった。
まあその前には、いつの間にか大人と呼ばれる歳になってしまっていたわけなんだけれども、あと何十年か経ってまだ生きていたとしたら、老人と呼ばれる歳になってしまうのだろう。
しかし、問題なのは自分自身にその自覚がないことだ。いつの間にか大人と呼ばれる歳になってしまっても大人という自覚はまあ全くないわけではないけれども、子供ではなくなってしまったという気持ちはあまりない。
それがなにか問題があるのかといえば、今のところ特別問題があるわけではないのでそれほど気にする必要もないのかも知れない、というか気にするつもりなど、毛頭ない のだが。
というわけで、この本を読んだとき、主人公が老人といっても差し支えない年代であることになかなか気がつかなかった。いや、気付いてはいたのだけれども物語の世界に入り込んでしまうとそんなことを忘れてしまう。
おそらくこの本の主人公たちも、自分と同じように、自覚などせずいつの間にか老人となってしまったのだろう。
ただ単純に、肉体だけが老化していっただけなのだ。
自分もあと何十年かしたら、この本の主人公たちと同じようなことをしているのだろうなあ、などと思ってしまった。
そして読み終えてそのことに気付いた時、なんだか未来へとタイムスリップし、そして未来の自分を体験して帰ってきたような感覚におそわれたのである。  

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2008年02月25日

二つの月の記憶

二つの月の記憶

  •  岸田 今日子

  • 販売元/出版社 講談社

  • 発売日 2008-01-18

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まったくもって不覚にして迂闊だった。
岸田今日子がこんな話を書くことができただなんて、いやもう自分の視野の狭さと不勉強さを恥じるばかりだ。何しろ僕にとっての岸田今日子ってのはムーミンの中の人であって中の人であって中の人であってそれ以外の何者でもなかったからだ。
つくづく活字の世界ってのは恐ろしく広大で奥深いってことを思い知らされたよ。いや、むしろ岸田今日子の奥深さに驚嘆したってほうが正しいか。
75歳という年齢でありながらも、何故こうも軽やかに飛び跳ねることが出来るのだろうか。
「オートバイ」でのお茶目な真の主人公はともかくとして、ふーん、こういう話を書くんだと思っていたら次の「二つの月の記憶」で愕然。
「K村やすらぎの里」ともなると、エッセイ風の実話的な始まり方をしておきながら、とある女性の、題名から遙かにかけ離れたおぞましい性癖が語られる。
「P夫人の冒険」ともなると、岸田今日子の勢いはもはや止まらず自由奔放、それでいてしっかりとした強かさを見せつける。
ああ、今もどこかできっと岸田今日子は軽やかに飛び跳ねているのだろう、岸田今日子はあまりにも軽やかに飛びすぎてこの世界からさえも飛び出してしまったのだ。
  
タグ :岸田今日子

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2008年01月23日

敗北への凱旋

敗北への凱旋 (講談社ノベルス レA- 2 綾辻・有栖川復刊セレクション)

  •  連城 三紀彦/

  • 販売元/出版社 講談社

  • 発売日 2007-08


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意外な犯行動機やら、そんなもん解けるかというくらいに複雑な暗号やら何やらと、かなりいろいろなものを詰め込んでいながら新書で180ページほどなので長編としてはかなり短い。
よくもまあコンパクトにまとめたというべきかも知れないが、むしろ細部を書き込んで補強し三倍くらいの分量にしてしまうか、もっと刈り取って半分以下に削り取ってしまったほうが良かっただろう。
前例のある真相はまあ、前例がある故にそれを知っていると破壊力が落ちてしまうんだけれども、そこは作者も確信していたはずで、むしろネタの荒唐無稽さが、前例があるということでうまいこと拡散されてしまったともいえる。
暗号に関しても複雑なわりには登場人物の一人がいともあっさりとさくさく解き明かしてしまって、何じゃそりゃと言いたくなる。
そう考えるとこれはミステリ版ワイドスクリーン・バロックなんじゃないかと思ってしまった。想像の遙か上を行く意外な犯行動機、世界が逆転してしまうような真相、とてつもなく複雑な暗号やトリック、まともな人物などほとんどいなく情念の固まりのような登場人物たち、複雑な暗号でさえあっさりと解き明かす超人探偵。全てが過剰で異常なのである。
で、ミステリ版ワイドスクリーン・バロックとして成功したのかというと失敗している。
狂気の世界において唯一、これを書いた作者は狂っていなかったからだ。
計算高い作者の姿が見えてしまっているところが惜しい。  
タグ :連城三紀彦

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2008年01月07日

聖女の島

花の旅・夜の旅―昭和ミステリ秘宝 (扶桑社文庫)

  •  皆川 博子/

  • 販売元/出版社 扶桑社

  • 発売日 2001-08


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うーむ、自分の責任とはいえ、その場の勢いだけで買ってしまったことを思いっきり後悔している。
そもそも、今回の講談社ノベルス25周年記念企画「綾辻・有栖川 復刊セレクション」が怪しいのは戸川昌子の『火の接吻』で既に知っていたはずで、今回復刊した本は必ずしも入手困難な物ばかりではないことを頭に入れておけば良かったのだが、すっかり忘れてしまっていた。
皆川博子の『聖女の島』だって扶桑社文庫の<昭和ミステリ秘宝>シリーズの一冊として『花の旅夜の旅』とのカップリングで出ているではないか。どちらがお得なのかは言うまでもない、事前にチェックしておくべきだった。そもそも都筑道夫の『顎十郎捕物帳』だって一巻しか復刊しないし……。
まあそれはさておき、解説で恩田陸が絶賛していたが、いかにも恩田陸が好みそうな話だった。

三十一人の少女が収容される島。三人が死に二十八人になったはずなのに三十一人いる。
なんてあおりを受けて期待して読み始めるとなにやら自己中心的な収容所所長の女性が登場して、一方的に語りはじめるあたりから嫌な雰囲気が漂い始める。
謎解きというよりも、どことなく雲がかっていて曖昧な、そして非常に嫌な雰囲気が漂いまくっている展開をし続けるのである。
そして最期まで読み通してみると、この曖昧で嫌な雰囲気の原因がよくわかるのだ。
嫌な話だったのだが、たしかにこれは凄い。  
タグ :皆川博子

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2007年12月13日

消失!

消失! (講談社ノベルス ナK- 2 綾辻・有栖川復刊セレクション)

  •  中西 智明/

  • 販売元/出版社 講談社

  • 発売日 2007-10


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1990年といえば、よほどのことがない限り文庫本しか買わなかった時代だし、仮に文庫以外の本を買っていたとしても、新本格にまでは触手が出なかっただろう。
と自己弁護しても仕方ないけれども、ようやく読むことができた。
不幸なことについつい誘惑に負けてというか、おそらく読むことなど出来ないだろうとあきらめが入っていた頃にうっかり真相の一部を知ってしまったために、終盤に明らかになる最初の真相を楽しむことが出来なかったのである。もっともこの真相を知っていたから逆に如何に旨く騙そうとしているのかという部分を楽しみながら読むことができた、というのはちょっと負け惜しみだ。
確かになるほど、世間での評価が別れる真相ではある。しかし、それ以上に驚いたのは次の真相で、こちらの方は知らなかったので素直に驚くことが出来た。というよりも、最初の真相は第二の真相のための捨てゴマに過ぎないのではないだろうか。ここにきて連続殺害事件が見事に消失してしまうのである。確かにミッシングリンク物における新機軸だった。
もっとも、ミッシングリンクを扱いながらも、事件そのものは早いうちに終わってしまい、それ以上事件は起こらない。目次の構成からしてそれ以上事件が起こらないことがわかってしまうせいもあるけれども、それ故にサスペンス性が全くなく、加えて個々の事件における真相も小粒であるあたり、ねらいが別のところにある点で仕方ないとはいえ、もう少し何とかなったら傑作になり得たと思うと非情に残念だ。  
タグ :中西智明

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2007年10月09日

三月生まれ

三月生まれ

  •  伊井 直行/

  • 販売元/出版社 講談社

  • 発売日 1996-03


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お母さんの恋人』は『濁った激流にかかる橋』と同じ町を舞台としていて繋がりがあることは知っていたのだが、文庫化された『濁った激流にかかる橋』の解説を見て『三月生まれ』も繋がりがあることを知ったのでますます読んでみたくなったのだが、悲しいことに伊井直行の本というのは絶賛絶版中なのである。
読むことが出来ないとわかるとますます持って読みたい衝動が強くなるのだが、幸いなことに運良く手に入れることが出来たので読んでみた。
わずか200ページの薄い本で、ページを開くと一ページあたりの行数の少なさにも唖然とし、長編というよりも中編といったほうが良いほどの分量に驚いたのだが、それ以上に驚いたのはもの凄く普通の小説だったこと。
『お母さんの恋人』のような変わった語り手ではないし、『濁った激流にかかる橋』のような不思議な話でもない。両方の小説と繋がりがあるということだったのだが、舞台はおそらく違う場所で、明確な繋がりらしい繋がりは無く、強いて言えば主人公一家の名字が「中子」というだけだ。
なんだか騙されたような気分でもあるのだが、もともと井伊直行の小説というのは騙された気分にさせられる話なので不満ではない。
むしろ、もの凄く普通の話を、やけにみずみずしい描き方でもって読後感良く語られたので、こういう騙され方ならばもっと騙して欲しいなあと思ってしまうのであった。  

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2007年06月20日

監禁

監禁

  •  福田 栄一/

  • 販売元/出版社 講談社

  • 発売日 2007-06-08


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エンド・クレジットに最適な夏』に続けて立て続けに講談社ノベルスからもう一冊……出たんですが、この『監禁』というタイトル、もう少し何とかならなかったのかなあ。
タイトルが『監禁』だからといって監禁する側のお話じゃあないので、ちょっといかれた人間が誰かを監禁していたぶるような話を期待している人はがっかりするだろうけれども、まあ福田栄一の小説を読もうとする人はそんな話しを最初から期待してはいないのでこんなタイトルだからといって別に困ることもないんだろうし、こういうタイトルにしておけばいつもの同時多発トラブル物でもないことが何となく判るだろうからこれはこれでいいのかも知れない。
まあそれはともかく、今回はいつもの同時多発トラブル物に物足りなさを感じていた人向けというか、要するに三つの視点による別個の物語がやがて一つの物語へと収束していくというお話で、そんなことを言ってしまってはネタバレじゃあないかと思うかも知れないけれども、表紙見返りにある作者の言葉でも作者自身が同じようなことを書いているのでネタバレでもなんでもないということにしておこう。
そしていつものごとく手慣れた作りの、まあそれ故に豪快な背負い投げを食らわせるような造りではないけれども、大外刈りぐらいのインパクトはあるかも知れない。  

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2006年12月19日

愛と癒しと殺人に欠けた小説集

突然音沙汰無しになってしまった都筑道夫の「ポケミス全解説」は二月予定となったみたいだ。この二月ってのが来年なのか再来年なのか、いつの二月なのかはわからんけどな。
来年一月にようやく完結するはずの、絵のほうはできあがっているみたいだから大丈夫だと思うけど、キャプテン・フューチャー全集は別巻が出るようで、これがなんと野田宇宙大元帥のあの作品。欲をいえば、キャプテン・フューチャーはパルプマガジンだったのだから、かつてSFマガジン別冊として出た「キャプテンフューチャー・ハンドブック」のような体裁で出してくれるとうれしいのだけれども、さすがに欲張りすぎというものか。そもそも、早川書房がやるべき企画だったんだよなあ。

で、それはともかく。

愛と癒しと殺人に欠けた小説集
  

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2006年11月20日

SPEEDBOY!

SPEEDBOY!
舞城 王太郎著
  

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2006年11月01日

邪魅の雫

MWA賞を受賞したジェフリー・フォードの「The Girl in the Glass」が早川ミステリで翻訳予定に上がっている。
うーん、フォードって結構幅広い作風の人だったんだね。これはそろそろフォードの作品も読み始めなくってはいけないなあ。

で、それとは関係ないけど。

邪魅の雫
京極 夏彦著
  

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2006年07月06日

神の仕掛けた玩具

神の仕掛けた玩具
橋元 淳一郎著
  

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2005年07月21日

神様ゲームあるいは絶対の真理

神様ゲーム
麻耶 雄嵩
  

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2005年06月07日

あの頃アニメが好きでした

テレビアニメ魂
山崎 敬之著
  

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2005年05月11日

恋の行方

お母さんの恋人
  

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