2008年03月07日

蠅の王

蠅の王 (角川ホラー文庫 58-2)

  •  田中 啓文

  • 販売元/出版社 角川書店

  • 発売日 2008-01

Amazon/楽天ブックス




それにしてもまともな人間がまったくもって登場しない話だ。
まあ、全くというのは言い過ぎで、数人ほど登場するんだけれども、登場して直ぐに作者によって退場させられてしまう。
主人公だってまともといえないわけで、そもそも今ここで起こっている事態を正しく認識などしようとはしない。16才の少女だから仕方ないかって気もするけれども、主人公以外の人間がさらに輪をかけてまともではないので相対的にまともに見えるだけだ。
前作の『水霊』と比べるとさらにエログロ度がパワーアップしているのでえぐい描写があちらこちらで炸裂していて、こういう話に耐性の無い身としては辛いものがあったけれども、そういうえぐい描写はばんばん飛ばして読み進めていったので、600ページ以上ありながらもあっという間に読み終えることが出来たのは幸いだ。
もっともこの本の肝心要の部分はえぐい描写の部分なので、そういう読み方をしたのではこの本を読んだことにはならん、と言われたらそうなかも知れない。
しかし、えぐい描写であってもどことなく醒めているんだよなあ、この人の描写って。
相変わらず、真相の部分に駄洒落を使っているんだけれども、今回はヨハネの黙示録を中心とした西洋文化の部分なので、駄洒落ネタが今一つだったのが残念。
  
タグ :田中啓文

Posted by Takeman at 12:30Comments(0)TrackBack(0)角川ホラー文庫
2008年02月01日

ネクロダイバー潜死能力者

ネクロダイバー―潜死能力者 (角川ホラー文庫 66-10)

  •  牧野 修/

  • 販売元/出版社 角川書店

  • 発売日 2007-11


Amazon/楽天ブックス




夜を買いましょう』と比べるといかにもケータイ小説らしい文体で、ようするに1センテンスあたりの文字数が少なく、改行が多い。もっともそれだけがケータイ小説の特徴だというわけでもないのだけれども、一頁に文字がみっしりと詰まっていた方が得した気分になれるみみっちい精神の持ち主としてはなんとなく損した気分なのである。だったらライトノベルもそうじゃないかというかも知れないが、ライトノベルはまあそういうものだと割り切れている部分もあるし絵が付いているのでその分が差し引きゼロといったところで、さらに今のところページ下半分が真っ白などというレベルものにはぶちあたっていない。『ラビオリ・ウエスタン』のような一頁まるごと改行無しなどという作品があったりする。
そんなわけだから、多島斗志之の『海賊モア船長の遍歴』のように文庫でありながら二段組にしてくれれば良かったのにとも思ったりする。
まあそんなことはともかく内容の方に移ろう。
○○ダイバーといえば真っ先に思いつくのが人間の精神に潜るサイコダイバーだが、まさか死の世界に潜るなんて設定が登場するとは思わなかった。
もっともそこで行われていることといえば、成仏出来ない幽霊を退治するということであって特別新しい物ではないのだが、物語世界という概念が登場したり、登場人物の一人がアニメオタクだったりするところはいかにも牧野修らしい設定。
で、成仏出来ない幽霊をどうやって退治するのかといえば棘の生えたブラックジャックでグシャリと撲殺するのである。あくまで牧野修の世界なので愉快痛快とはほど遠く、かといって牧野修節炸裂とまでは行かないのだが、ごく普通に楽しい。
  
タグ :牧野修

Posted by Takeman at 12:30Comments(0)TrackBack(0)角川ホラー文庫
2007年12月19日

壊れた少女を拾ったので

壊れた少女を拾ったので (角川ホラー文庫 123-2)

  •  遠藤 徹/

  • 販売元/出版社 角川書店

  • 発売日 2007-11


Amazon/楽天ブックス




姉飼』の時にも書いたのだが、やはり遠藤徹は吉田戦車である。もちろんこれは吉田戦車が遠藤徹という名で小説を書いているという意味ではなく、吉田戦車の描く世界をギャグ無しで小説化したら遠藤徹の世界になるという意味だ。
家電製品との恋愛を描いた「カデンツァ」などはもうこれは活字で書いた吉田戦車の世界そのものにほかならない。主人公の妻は炊飯器に恋をして挙げ句の果てに炊飯器との間に子供を作ってしまうし、主人公はといえばホットプレートと恋仲になりホットプレートは主人公の子供を孕んでしまう。主人公の上司は冷蔵庫と恋愛関係で死後まで一緒にいたいと冷蔵庫を棺桶代わりにすることを遺言として残すのである。
もっとも表題作になると吉田戦車の世界から少しはずれてくるので完全互換というわけではないのだが、それでもその片鱗は見ることが出来る。
「桃色遊戯」は私の好きな終末物なのだが、人類を滅亡に導くのはピンク色の新種のダニである。フレドリック・ブラウンの短編にオレンジ色の世界で狂気に陥る男の話があったが、この世界では一面ピンク色に染まる。何ともいえないシュールな世界だ。
しかし、一番の衝撃は「赤ヒ月」で、カニバリズムをここまでエロティシズムあふれる描き方をされると思わずクラクラと彼岸の世界へと足を踏み出してしまいそうになるのだ。  
タグ :遠藤徹

Posted by Takeman at 12:30Comments(0)TrackBack(0)角川ホラー文庫
2007年11月08日

ネフィリム―超吸血幻想譚

ネフィリム―超吸血幻想譚 (角川ホラー文庫 59-9)

  •  小林 泰三/

  • 販売元/出版社 角川書店

  • 発売日 2007-09-25


Amazon/楽天ブックス




超空想科学怪奇譚である『ΑΩ』と比べると、肩の力が抜けたエンターテイメントだった。いや、ここでいう肩の力が抜けたというのは『ΑΩ』での、如何に合理的にウルトラマンという存在を成立させることができるかという部分における執拗なまでの理屈と屁理屈の部分が抜け落ちているということであって、物語そのものの肩の力が抜けているわけではない。
今回は吸血鬼なのであるが、その存在理由に対する説明というのはあまりなくシリーズ化をねらっているかのごとき曖昧さなんだけれども、物語を読む場合必ず計算して読むという作者だけあって、所々でハードSFっぽい計算があったりするので侮れない。
しかしそんなことはともかく、作者のもう一つの特徴であるドロドロぬるぬるのスプラッター要素は手抜かりなく全開だ。しかし吸血鬼物なので血まみれなのはまあ許すけど、手足がもぎ取れ臓物が噴出するのはいかがなものか。
十字架とか聖水とか大蒜とかが効かない設定なので、吸血鬼一匹を倒すだけでも何人もの死者が出るしまつだ。初っぱなから絶望的な戦いを強いられる展開はなかなか燃えるものがある。そしてそのテンションは最初から最後まで落ちずに突っ走るのでこういう話が好きな人には最後まで安心して読むことが出来る。  
タグ :小林泰三

Posted by Takeman at 12:30Comments(0)TrackBack(0)角川ホラー文庫
2007年04月03日

忌憶

こころが目覚める男たちの塗り絵DS ~タミヤボックスアート~
おお、思わず目覚めるどころかこころが動かされそうになってしまったよ、あぶねえ。
しかし、横山宏か加藤直之バージョンが出たら思わず買ってしまいそうだ。

忌憶

  •  小林 泰三/

  • 販売元/出版社 角川書店

  • 発売日 2007-03


Amazon/bk1/楽天ブックス

祥伝社の400円文庫の一冊として出た『奇憶』に二編を追加した連作短編集。
しかし、この本が540円で出たとなると400円文庫のコストパフォーマンスの悪さが気になってしかたないのだけれども、とりあえずその事は考えないようにしておこう。
とにかく生理的な嫌悪感を抱かせながらも主人公の駄目っぷりが感動的に素晴らしかった「奇憶」。クトゥルー神話を隠し味にしながらももう一つハードSFも隠し味に入れてしまているあたりがいかにも小林泰三といったところ。
第二話は第一話の主人公の恋人のお話だけれども、こいつもまあ嫌なお話。しかし腹話術で腹話術師の思考をメインプロセス、腹話術人形としての思考をサブプロセスとしてメインとサブを入れ替えてしまうなんて話になるとは思っても見なかったというか、ハードウェアが存在しなくっても意識のプロセスは存在したままなどという展開はイーガンのアレを思わず想像してしまった。
第三話では第一話の主人公の親友のお話だけれども、こいつがなかなか面白くってホラーなのに相変わらず論理的な思考をしまくりで、根底の部分ではSFになっているところが素晴らしい。  

Posted by Takeman at 12:30Comments(0)TrackBack(0)角川ホラー文庫
2006年11月30日

姉飼

姉飼
遠藤 徹〔著〕
  

Posted by Takeman at 12:30Comments(2)TrackBack(1)角川ホラー文庫
2006年05月19日

脳髄工場

脳髄工場
小林 泰三〔著〕
  

Posted by Takeman at 12:30Comments(4)TrackBack(1)角川ホラー文庫