2008年03月10日

カンタン刑 式貴士 怪奇小説コレクション

カンタン刑   式貴士 怪奇小説コレクション (光文社文庫)

  •  式 貴士

  • 販売元/出版社 光文社

  • 発売日 2008-02-07

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式貴士といえば「カンタン刑」なのだろうけど、これはもう枕詞のようなものではないだろうか。
初めて式貴士の本を読んだのは僕が中学生のころで、その本は『カンタン刑』という題名の文庫本だった。題名そのもののインパクトはあったけれども、どうもこういった方面の話に関しては耐久力があるというか、いやむしろこういった方面に関して想像力がさっぱり働かないせいで読んでいても全然平気だったのである。まあどんな気色悪い話であろうが恐ろしい話であろうが想像力を働かせなければ大丈夫なのだ。
というわけで、僕にとっては式貴士といえば「長いあとがき」なのである。もともと「あとがき」が好きで「あとがき」の無い本はどんなに面白そうな内容でも手に取らなかった僕にとって、「長いあとがき」を書いてくれる式貴士は最高の作家で、高校での読書感想文に『カンタン刑』を選んで「長いあとがき」に対する愛情を書いてしまうほど熱中していたのだった。
しかし、どんなに好きな作家であっても、当時の財力ではハードカバーまでは手が出せず、もっぱら文庫化された物を読むので精一杯だった。
で、どんな場合でも熱は冷める時がくるのだ。
文庫化された本に「長いあとがき」がつかなくなってしまったのだ。そのとき初めて大人の事情と厳しい社会の現実を突きつけられたわけなのだが、あいにく突きつけられたことさえも気がつかないほど当時の僕は馬鹿だったでの、それ以降式貴士に対する熱が冷めてしまったのである。
こうして装いも新たに出版されたこの本を読んで、自分のあさはかさと無知を悔やみ、そしてあらためて式貴士の持つセンチメンタリズムに心が揺れ動いたのだが、読み終えてみると「長いあとがき」が無いことに失望している自分がいるのであった。  
タグ :式貴士

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2008年03月03日

バベル島

バベル島 (光文社文庫)

  •  若竹 七海

  • 販売元/出版社 光文社

  • 発売日 2008-01-10

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若竹七海の未収録短編ばかりを集めた本ということでお買い得気分にさせられてしまうのだが、この「未収録」という言葉は案外曲者だ。
収録されなかったのには収録されなかっただけの理由というものがあったりするので、必ずしも面白い話であるとはいえないのである。
とはいえども、こうして集められてみると見事なまでにホラー寄りの話が多く、統一感がとれているので余り物を集めましたといった感じが全然しない。
表題作に関しては表紙の絵がネタバレ気味なのだけれども、まあ表紙を見なくても読んでいけばおおよそどんな結末になるのか予想はつくので、むしろある種の無邪気さ故に生まれた心の闇の深さにおそれを感じながら結末に向かって読み進めるのがいいのかもしれない。
他の作品もいつもの若竹七海の描くホラーなので人の心の悪意のようなものがみっしり詰まっている。
都筑道夫への言及がある「招き猫対密室」は、冒頭の古道具屋の主人と主人公の会話に都筑道夫らしさがあったりしてどことなく都筑道夫のオマージュっぽい感じなのだが、具体的にどの作品のオマージュなのかがピンとこないところがもどかしい。
  
タグ :若竹七海

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2007年11月23日

幼年期の終わり

大沢在昌が流行作家にインタビューをしたものをまとめた『エンパラ―大沢在昌対談集』が新装版になったので何か変わったのかなと手にとって悲しくなった。
いや、手に取る前からおおよその予想はしていたのではあるのだが、目の前に事実を突きつけられるとやはり衝撃度は大きい。
こちらが旧版新装版だ。
その昔、「日本SF冬の時代論争」もしくは「クズSF論争」なるものがあったのだが、実に後ろ向き的な論争で不毛なものだったけれども、この論争における唯一の被害者は梅原克文だったんじゃないかと思うことがある。こんな論争に参加さえしなかったならば今でも活躍し続けていたんじゃないだろうか。もっとも人の性格というものはそう簡単に変わるわけではないので論争が起きなくっても同じ結果になったのかも知れないが。

で、光文社といえば……

幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫)

  •  クラーク/

  • 販売元/出版社 光文社

  • 発売日 2007-11-08


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二十数年ぶりに読み返したこととなるのだけれども、意外と細かいところまで覚えている自分の記憶力に驚いた。もっとも覚えていない部分の方が多かったのも事実だが。
新たに書き直された第一章の部分はといえば、ほんの数ページ。冷戦が終結し、東西が協力しあって火星へと目指し、いよいよ宇宙への本格的な第一歩を記そうとした矢先にオーバーロードがやって来て宇宙進出の道を閉ざされてしまうという形に変更したのはそれはそれで、まあこれもありかなとも思うのだが、冷戦が宇宙人がやって来たことで終わってしまったという初期バージョンのほうがインパクトという点ではやはり大きかったんだよなあ。
というわけで、宇宙進出の第一歩が閉ざされたところから始まる新バージョンはそれ故にいきなり閉塞感が漂ってくる。自分自身が年を取ったせいも多分にあるだろう。始めて読んだときには自分もひょっとしたら進化するかも知れないなどと思う余地もあったのに対して、今ではすっかり年老いて、どう考えても完全に取り残されてしまう側なのだ。
それはともかく、今回の新訳でウィジャ盤がどのように訳されるのか楽しみにしていたのだけれども、ウィジャ盤という言葉自体が全く登場しなかった。福島正実訳ではどうだったのか調べたら、こちらでもそんな言葉は使われていない。どうやら沼沢洽治訳だけに登場していたみたいだ。もっとも手元に本がないので、こちらの訳でも使われていなく、ただ単に勝手に自分の頭の中で補完していただけなのかも知れないが。
クラークがウィジャ盤を登場させるということにずっと違和感を抱き続けていたのだが、今回のクラークの前書きを読んでなんとなくウィジャ盤が使われた理由がわかったので長年の疑問が解けて良かったよ。  

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2007年08月13日

船上にて

船上にて (光文社文庫 わ 10-8)

  •  若竹 七海/

  • 販売元/出版社 光文社

  • 発売日 2007-07


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後味の悪い話ばかりだということだったのでそれなりに覚悟を決めて読んでみたのだが、確かに後味の悪い話ばかりだった。
とはいうものの、読んだことを後悔したくなるような酷さでは無く、酷い話だよなあと笑顔で言える程度の後味の悪さなので、スリルを味わうためにジェットコースターに乗るような感覚に近い。
最初の「時間」という話では、一人の人間の心の闇をあらわにしてしまう嫌な話なのだが、比較的きれいにまとまっているので許せてしまう。しかしその次の「タッチアウト」は二つの視点の物語が最終的にもの凄く嫌な結末へと結びつき、一番悪いのは作中の犯人ではあるけれども、このような結末にしてしまう作者に対して、「お前が一番悪い」と言いたくなってしまう。
探偵役が瀕死の重傷者というとんでもない設定の「優しい水」などを見ても、探偵役が瀕死の重傷者である必然性などあまりないにも関わらず、このような設定にして、しかも「優しい水」などというタイトルをつけるあたり、やはり作者の底意地の悪さが垣間見られる。
『実践・特殊手紙文例集』などという脅迫の手紙、予告状といったきわめて特殊な手紙の書き方しか載っていない本の文例を列記しておいて読者を楽しませておきながら最後の一行で突き放す「手紙嫌い」などもなかなか嫌な話で、期待を裏切らないでくれるよなあと思いつつも、一番最後の「船上にて」では唯一爽やかな読後感を残す終わり方をしているあたりは憎いところである。  

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2007年08月01日

夕萩心中

夕萩心中 (光文社文庫 れ 3-5)夕萩心中 (光文社文庫 れ 3-5)
連城 三紀彦

光文社 2007-06
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<花葬>シリーズと<陽だまり課事件簿>シリーズのカップリングというのは仕方なかったんだろうけれどもなかなか強烈な組み合わせ。<花葬>シリーズを読んだ後すぐに<陽だまり課事件簿>シリーズを読むとそのギャップの激しさにとまどいを受けるのだが、まあ、すぐに読まずに、一日程度時間をおいて読めば何とかなるものである。
しかし<花葬>シリーズは掲載紙がなくなり中断してしまったせいで三編しか収録されていないのは物足りない面があって、とくに「花緋文字」がシリーズの中でもっとも異色で強烈すぎる犯行動機、いや犯人の自己中心ぷりが凄まじく、その衝撃を和らげるのに他の二編ではちょっと役不足気味なのである。もちろん単体としてみれば「夕萩心中」だって素晴らしい出来なのだが、「花緋文字」と比べると衝撃度では落ちてしまう。
一方<陽だまり課事件簿>シリーズの方はといえば、連城三紀彦ってこんな話も書けるのかと思うほどに強烈なギャグの応酬。まあ多少滑り気味かなと思うんだけれども好きですよこういう話は。  

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2007年05月24日

神を見た犬

神を見た犬

  •  ブッツァーティ/

  • 販売元/出版社 光文社

  • 発売日 2007-04-12


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北村薫編『謎のギャラリー―こわい部屋』に収録されていたり、ギジェルモ・マルティネスの『オックスフォード連続殺人』で触れられていたりとで、ブッツァーティといえば「七階」というイメージが植え付けられてしまっているんですが、あらためて読み直してみると七階から一階へと転落していく様はやはりうまい。
「天地創造」での人間の扱い方なんかは、そこで登場するのであればそれしかないだろうというくらいにあまりにもベタ過ぎる扱い方なんだけど、オチでの処理の仕方なんかはベタ過ぎる扱いに比べると非常にスマートな処理の仕方をしてちょっと意表をつかれてしまった。そんなわけで冒頭の一作目からツボにはまってしまったわけだが、全22編、「神を見た犬」と「戦艦《死》」が長めだけど他は短い作品ばかりで、ショートショートといってもいいくらい。どういう基準で作品選択をしたのかは判らないんだけど、不気味な話というのが少なく、ショートショートに限っていえば星新一を彷彿させるような話が多い。
全体的には皮肉な話が多く、「戦艦《死》」なんかは本当のところ作者の意図がどうだったのかは判らないんだけど、第二次世界大戦中ナチスドイツが作った究極戦艦が異境の物と戦って、ひょっとしたら世界を救っていたのかも知れないという風に解釈すると、もの凄い皮肉というかイタリアの作家のくせにもの凄い話をさらっと書いてしまうよなあ。
そういえば『オックスフォード連続殺人』は映画化されたようなんだけど、「七階」のエピソードはどうなったんだろうなあ。  

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2007年04月27日

A HAPPY LUCKY MAN

A HAPPY LUCKY MAN―長編小説

  •  福田 栄一/

  • 販売元/出版社 光文社

  • 発売日 2007-03


Amazon/Bk1/楽天ブックス]

玉響荘のユーウツ』が面白かった福田栄一のデビュー作。
『玉響荘のユーウツ』と同様というか、こちらが先なので同様と言うのはおかしいけれども、ようするにシチュエーションコメディ。もっとも、次から次へと起こるトラブルは基本的に相互に無関係で、全てのトラブルが一つに収束していった「玉響荘のユーウツ」の方がスマートで爽快感があったけれども、個人的には何が起こるのか予測もつかない展開を見せた本作のほうが好みかな。
次から次へと同時多発的にまき起こる数々の事件は、途中で無事解決していったり、最後まで持ち越されたり、新たにまき途中から起こる事件があったりするのでまとまりはない。しかし何が起こるのか予測不能な面白さと、語群奮闘で次から次へとトラブルを解決していく主人公のたくましさはかっこいい。しかしよくもここまで様々なトラブルを巻き起こしたものだと感心するばかりですよ。
最後にはみんな幸せになってハッピーエンド、いいではありませんか。ご都合主義過ぎるなんてセリフは禁物なのだ。  

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2007年04月20日

海神の晩餐

海神の晩餐

  •  若竹 七海/

  • 販売元/出版社 光文社

  • 発売日 2007-02-08


Amazon/Bk1/楽天ブックス

それほど熱心な若竹七海読者ではないので、若竹七海がこのような話を書いていたとは知りませんでした。
タイタニック号と運命を共にしたジャック・フットレル。運命を共にしたのは彼だけではなく、彼が書いた何作かの作品もそうだった。
だが、その作品が船と運命を共にせず、生き延びた誰かの手に渡っていたとしたら……。
まさか、若竹七海がジャック・フットレルの贋作をするとは思ってもみませんでしたよ。おまけにアール・デア・ビガーズのチャーリー・チャン警部まで登場するし。
そして主人公が乗る客船、氷川丸にはいろいろと曰わくありげな人物が多数乗り合わせる。しかし、これだけの舞台装置が整いながらも、事件らしい事件はなかなか起こらない。
船の速度と同様、物語はゆったりとそして着実に進んでいくのだけれどミステリとして期待するとちょっとがっかりしてしまう。まあ、あまり陰惨な悲しい事件にしないところが作者の暖かいまなざしなんだろうと思えば、事件の決着の付け方も、これはこれで悪くはないなあと思うのだけれども、それはエピローグを読むまでの話。
いやさすが若竹七海といいたいところで、せっかくのいい気分もエピローグで奈落の底に落とされてしまったよ。この暗雲たちこもる結末は。  

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2007年02月08日

贈る物語 Terror

贈る物語 Terror
  

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2007年01月31日

海に住む少女

海に住む少女
シュペルヴィエル著 / 永田 千奈訳
  

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2007年01月19日

聖い夜の中で

聖(きよ)い夜の中で
  

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2006年12月26日

贈る物語 Wonder

贈る物語 Wonder
  

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2006年11月23日

林真紅郎と五つの謎

林真紅郎と五つの謎
  

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2006年10月06日

プレシャス・ライアー

プレシャス・ライアー
  

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2006年03月02日

ヤミナベ・ポリスのミイラ男

ロン・グーラートの「ゴーストなんかこわくない」を買ったんですが、解説を読んでいたら過去に長編が一冊だけ翻訳出版されていたって書かれており、グーラートの長編なんて記憶にさっぱりなかったからちょっとびっくり。
しかもその本というのが「電脳麻薬ハンター」。なんじゃそりゃ、ってこれってカーク船長…もといウィリアム・シャトナーが書いたものだったはずなんだけど、ゴーストライターだったんですか。
そいうえば去年出た「ベストSF201」の中でグーラートとの共作らしいとは書かれていましたが、そうだったんですか。この本が出た時には見向きもしなかったんですが、そういうことはもっと早く言って欲しいものです。とはいうものの知っていたとしても読まなかっただろうなあ。
で、もっと早くといえば…。

ヤミナベ・ポリスのミイラ男
  

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2006年02月06日

戻り川心中

戻り川心中
連城 三紀彦著
  

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2005年09月05日

実験小説ぬ
浅暮三文
  

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2005年06月15日

闇に光はあたるのか

赫い月照
谺 健二
  

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2005年04月02日

蚊取湖殺人事件 泡坂妻夫


蚊取湖殺人事件 泡坂妻夫 読了

短編集ですが相変わらずのどこを切っても泡坂妻夫です。とはいうもののミステリーばかり集めたものかと思いきや、ミステリーでないものもいくつか入っていて、個々の作品は泡坂妻夫らしいのですが、一冊の本としては泡坂妻夫らしくありません。なんだか、晩年の都筑道夫の本を見ているようで少し悲しいです。といっても熱心な泡坂妻夫ファンではないので、それほどがっかりもしていないわけですが。
ミステリーよりもミステリー以外の作品の方が意外と楽しめました。

次は大山誠一郎のアルファベット・パズラ-ズです。  

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