2008年02月15日

ウルフヘッド

ウルフヘッド (1979年) (サンリオSF文庫)

  •  チャールス・L・ハーネス

  • 販売元/出版社 サンリオ

  • 発売日 1979-06

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本家ワイドスクリーン・バロックであるのに、寡作で作品数が少ない上に翻訳は短編が三編と長編が一編しかないので日本ではワイドスクリーン・バロックという言葉が登場しても名前すら挙がらない事の多いチャールズ・L・ハーネス。
サンリオが撤退さえしなければ今頃は『リタネルの環』ぐらいは翻訳されていただろうと思うと残念で仕方ない。しかもどこかの出版社が翻訳権を持ったままらしいのに、翻訳される気配など一向に無いのでなおさら悔しくてたまらない。
で、唯一翻訳された長編『ウルフヘッド』はというと残念ながらワイドスクリーン・バロックではない。
地底に住む住人に妻を誘拐された主人公。その時に受けた傷がきっかけとなって超能力を手に入れるのだが、その超能力は24時間で消えてしまうことを知る。自分の脳の一部を移植し、意志の疎通が出来るようになった狼と共に地底に潜り、24時間以内に妻の救出を目論む。というのがおおよそのあらすじなのだが、本家ワイドスクリーン・バロックが書いたとは思えないほどごく普通でまともな展開をする。
解説でも安田均が、ハーネスの評価は『The Paladox Men』か『The Ring of Ritornel』が出たときにするのがいいだろうといっている通りで、この本だけだとハーネスを絶賛したくってもしようがない。
まあ今更あえて読もうとしなくってもいい話なんだけど、冗長な部分が無いおかげでテンポよく進む展開と事件は解決してもハッピーエンドではない終わり方のおかげで読んだら読んだでそれなりの充実感は与えてくれる。  


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2006年01月25日

キャンプ・コンセントレーション

普段はこの番組観ていないんですが、来週の「大改造ビフォーアフター」は非常に気になります。

4000冊以上もの本が家を埋め尽くす
「本に埋もれた家」を劇的に大改造!
4000冊以上もの本の山が家を埋め尽くす!廊下やトイレ、屋外にまで本があふれ、家族の生活を圧迫!難問山積みの通称「本に埋もれた家」を劇的に大改造!なるか、奇跡の収納と快適空間!

4000冊はちょっと少ないんじゃないかと思うのですが、他人事じゃなかったりもします。かなり特殊な間取りのようなので4000冊程度であれば「匠の力」でなんとかなっちゃいそうでもあるけど…。

さて、世の中の本好きな皆さんはどのくらいの積読本を抱えていらっしゃるのでしょうか。
私なんて三桁ですよ。
本を読む速度よりも読みたい本が増える速度の方が早いのがその原因なんですが、三桁ともなるとその差は絶望的な差にもなります。
それでも、読みたいという気持ちが残っている本はいずれ読む可能性が残っているのでいいのですが、長い間積読にしておくと読みたいという気持ちすら無くなってしまう本も出てきます。そういう本は永久積読本と成り果てるのです。

ディッシュの「キャンプ・コンセントレーション」もこの間まで永久積読本でした。この本を買ったのは二十年も前ですよ。
出た当時は、これがディッシュの幻の傑作「キャンプ・コンセントレーション」かと、もの凄くわくわくしたんですが、期待感が高すぎて読むのに挫折しました。そもそもサンリオSF文庫は裏表紙に400文字程度の要約が載っているのですが、この本に限っては要約なんていっさい無し。この本がどれだけ凄いのかがひたすら書かれているだけです。しかも全部で360ページなんですが、後半90ページ近くは訳注です。娯楽SFと思って読めば挫折するのも無理もありません。
しかし、ずっと心残りになっていたわけで、意を決して二十年ぶりに再チャレンジしてみました。
文学的素養が無いので判らない部分も多かったのですが、結構話についていくことができました。一口で言ってしまえば、邪悪な「アルジャーノンに花束を」といったところでしょうか。
梅毒に罹った過去の著名人を調べてみると、その末期時に天才的なひらめきを見せていることから、コロラド州の地下に収容所を作って改良したスピロヘータを使って知能促進の人体実験を行うのだが、改良したとはいえ梅毒には変わりないのでいずれは死んでしまいます。さすが「人類皆殺し」を書いた作者だけあって情け容赦ありません。収容所の名前はキャンプ・アルキメデス。梅毒で天才になってみんなで「エウレカ」と叫ぼうとでもいうんでしょうか。
主人公は詩人で、患者達と話をしてそれを日誌に書くことを指示されます。そんなわけで前半は主人公の日誌の形態を採っていますが、自分自身も患者だったことが判るところで前半が終わります。
後半は日記の形をなさない断片的なメモ風になるのですが、ここからがディッシュの本領発揮です。
前半部分はSFとしては今ひとつと思いながら読んでいたのだけれども、後半大逆転。主人公もいずれ死ぬことは目に見えているので陰鬱な終わり方をするんだろうなと思いきや、前衛的な手法をつかいながらもしっかりとSFとして終わらせているのであります。凄いよディッシュ!。
この本の面白さは絶対に十分の一も理解しちゃいないけど、読めて良かったよ。  

Posted by Takeman at 12:30Comments(8)TrackBack(1)サンリオSF