2008年04月08日

オトノハコ

オトノハコ (KCデラックス)

  •  岩岡 ヒサエ

  • 販売元/出版社 講談社

  • 発売日 2008-03-31

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箱の中には何が入っているのだろうか。
SF者であれば、猫と答えるんじゃないだろうか。生きているのか死んでいるのかよく分からない可哀想な猫である。
京極夏彦ファンであれば、生首と答えるだろう。こちらもまた、生きているのか死んでいるのかよく分からない可哀想な首である。
リチャード・マシスン好きならば……、いやもうこれ以上考えるのはよそう。SFファンやミステリファンの考える箱の中味はほとんど無条件に嫌な物ばかりである。
しかし、嫌な物しか思いつかない自分もどうかと思うのだけども、だからこそ、こういう作品に出合ったときに非常にさわやかで新鮮な驚きを味合うことが出来るので、嫌な物しか思いつかない自分もそんなに悪いわけではないのだなと思うのである。
まあそれはともかく、岩岡ヒサエの考える箱の中には音が詰まっていたのである。

空っぽの箱の中には音が詰まっている。

ああ、自分の中のどす黒い何かが全て洗い流されていくような爽やかさだ。
音の表現としての新味こそないけれども、岩岡ヒサエの描く小さなキャラクターたちがいろいろと悩みながらも健気にいや、健気というよりもけっこうしぶとく成長していく様を見るのは心地よい。  
タグ :岩岡ヒサエ

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2008年03月24日

トライガン

トライガンマキシマム 14 (14) (ヤングキングコミックス)

  •  内藤 泰弘

  • 販売元/出版社 少年画報社

  • 発売日 2008-02-27

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主人公に対して、絶対に人は殺さないという制約を設けた話というのはそれほど珍しいわけではない。
『トライガン』の主人公も腕は立つのに絶対に人を殺さない主人公だ。
思い起こせば『トライガン』と出合ったのは、一巻のオビでたがみよしひさが絶賛してくれたおかげだった。あのたがみよしひさが絶賛するのだからそれなりのものだろうと思って読んだらあまりの凄さに驚いた記憶がある。
続きが出るのを楽しみにしていたのだが、三巻目がでたあとで掲載紙が休刊となってしまいそこで終わってしまった。
しかし幸運なことに同じ出版社の別の雑誌で続きを出すことになった。少年誌から青年誌へと舞台が移り、タイトルにも「マキシマム」という言葉がついたのだが、そのせいなのかどうなのかはわからないが、「無印トライガン」に比べてハードな展開になっていった。
それまで、少年誌という足かせがあったので押さえていたのか、それともいずれは同じようなハードな展開をさせる予定だったのか作者のみぞ知るというわけだが最終巻で主人公は決断を強いられることとなる。
絶対に人を殺さないと誓った主人公に対して作者は、主人公が人を殺さなければいけない状況を作り出すのである。
さて、作者がどのような結論をだしたのかは読めばわかるのだが、そこまでが『トライガン・マキシマム』の物語なのだ。
そしてその後が「無印トライガン」の結末へと続く。
いや本当はそうじゃないだろうけれども、三巻で中断してしまった「無印トライガン」の着地地点はここなのだ。「マキシマム」になって何処かへ消えてしまったかのように思えて仕方の無かった「無印トライガン」の物語がそこにはあった。
ここまで無事たどりついて、本当によかった。  
タグ :内藤泰弘

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2008年03月12日

みんなのきせき(1)

みんなのきせき 1 (1) (アフタヌーンKC)

  •  内藤 曜ノ介

  • 販売元/出版社 講談社

  • 発売日 2008-02-22

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ひょっとしたら私の知らないところでこっそりと描き続けているのかも知れないけれども、大友克洋が漫画を描かなくなってからかなりの年月が経つ。アニメーションの世界へと行ってしまったきり、漫画の世界には戻って来てくれない。
大友克洋が脚光を浴びはじめた頃、大友克洋の絵柄に感化されたフォロワーが多く世に出たのだが、彼らもやがては独自の絵柄になっていってしまった。
そんなわけで、大友克洋のあの絵に対する飢餓感がずっと続いていたのである。
そんな時、内藤曜ノ介の『ラヂオヘッド(1)』が出た。
おおこれは大友克洋の世界ではないか。
細かな部分で不満点は多いけれども、とにかく私の中でずっと長いこと満たされないでいた部分を埋めてくれたのである。
というわけで二巻が出るのを楽しみにしていた。……が、いつまでたっても二巻は出なかった。いつまでたっても出ないので存在すら忘れてしまったのである。
そんな、存在すら忘れていた内藤曜ノ介の新作がひょっこりと出た。
久しぶりに見た内藤曜ノ介の絵はもう大友克洋の絵ではなかったのだが、まあいい。
本音を言えば『ラヂオヘッド』の二巻も出して欲しいんだけど、とりあえずこの物語の二巻を出してくれれば文句は言いまい。  
タグ :内藤曜ノ介

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2008年02月06日

この世界の片隅に(上)

この世界の片隅に 上(アクションコミックス)

  •  こうの 史代

  • 販売元/出版社 双葉社

  • 発売日 2008-01-12

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そもそも題名を見た瞬間から嫌な予感がしていた。
『ぴっぴら帳』とか『こっこさん』とか『さんさん録』などという、どちらかといえばほんわかとした題名をつけていた作者がこういう題名をつけた時には要注意なのだ。
長い道』からしてそうで、表面上はほのぼのとした話なのだけれども、主人公の二人は夫婦でありながら実は形式だけの夫婦であるというシビアな設定と毒が潜んでいた。
で、読み始めてみると時代背景が戦前の日本、雪男みたいに毛もくじゃらの人さらいが登場したり、座敷わらしが登場したりとするので、これはこうの史代の新境地なのかと思っていたら甘かった。
最初の三編は主人公の子供の頃の話でいわば番外編みたいなもの。本編はそれから時代が過ぎさって昭和18年12月から始まる。
舞台は広島だ。
そして一話ごとに月日が経過していくのである。
主人公は呉に住む青年の元に嫁ぐので、それ以降の物語は呉市内を舞台としているが、主人公の実家は広島市江波である。そしてこのまま物語が続けばやがて避けては通ることのできないあの出来事が起こるのだ。
こうの史代が再び何をどのように描くのだろうか、それを思うと恐ろしくてたまらないのである。
ああ、しかしそれとは別にこの本は非常に素晴らしい。「波のうさぎ」の後半、主人公が画用紙に風景をスケッチするのだが、その画用紙が漫画の一コマとなっているのだ。少しずつ絵が完成していく過程が一コマ一コマ描かれそして最後のコマで絵が完成する。
これは読んでいて背筋がゾクリとするくらいに素晴らしかった。  
タグ :こうの史代

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2007年09月11日

特務咆哮艦ユミハリ(4)

特務咆哮艦ユミハリ 4 (4) (バーズコミックス)

  •  富沢 ひとし/

  • 販売元/出版社 幻冬舎

  • 発売日 2007-08-24


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四巻で完結ということを耳にしたとき、残り一巻でまとめることが出来るのだろうかと嫌な予感がしたのだが、予感は的中してしまった。
四巻の最初から回想シーンの連続、飛ばしまくりでついてこれる人間だけついてこいと言わんばかりの急加速。
今までの謎は全てそのままでさらなる謎が投入されるのだが、それが全ての謎の一挙解決とまでは行かないところが歯がゆいところなんだけれども、まあこの人の他の作品もそうだったわけで、結果よりも過程を楽しむのが正しい楽しみ方なんだから仕方ないところか。
といっても、この物語の謎全てがきれいに解決することが出来たのならもの凄い傑作になっただろう事を考えると非常に惜しいのだ。新たな時間SF物の傑作が出来たのになあ。
それにしても、ウォーシミュレーションボードゲームのようなヘックス描写が出てきたときには驚いたよ。ウォーシミュレーションボードゲームってこんな感じのやつなんだけれども、これで複数のコマを使ってユミハリが表現されていて、おおっ、こんなボードゲームがあるんだったらやってみてえって思った。
しかし、いったいどんなとこからこんな発想持ってくるんだろうこの人は。  

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2007年09月07日

上京一週間

上京一週間 (ビッグコミックス)

  •  一丸/

  • 販売元/出版社 小学館

  • 発売日 2007-06-29


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『おかみさん』で全力を出しきってしまったというわけでもないだろうが、それ以降の作品は徐々にその連載期間が短くなっていき、もっとも私の知らないところで長期連載している作品があるのかもしれないけれども、知っている範囲において最近の作品は全一巻止まりとなってしまっている。
だからといってつまらなくなって来ているわけではない。どれも水準を保っているのである。
ただ、どの作品も涙あり、笑いあり、そして感動ありの人情ものというパターンで、主人公はおっちょこちょいだけども一直線にきまじめで、設定が違うだけなのだ。
読んでいるうちに飽きてしまうのは作者が悪いというよりも読者が贅沢になってきているだけである。
で、今回は一話完結の物語。それぞれ胸に想いを秘めて上京してきた人々の一週間の物語という設定だ。一丸の実力を持ってすれば、その中にいつもの人情話を盛り込むことなどたやすい作業に違いなく、今回も水準を軽くクリアしている。しかし、一週間の物語という制約が効果的に使われてはおらず、読んでいてもどかしさを覚えてしまう。
軽く水準をクリアしてしまっている物語に感動し、不覚にも涙を流しながらも、もっともの凄い物語を見せてくれと贅沢を言ってしまうのである。ああ、なんて私は我が儘なのだろう。  

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2007年09月05日

海獣の子供(1)(2)

海獣の子供 1 (1) (IKKI COMICS)

  •  五十嵐 大介/

  • 販売元/出版社 小学館

  • 発売日 2007-07-30


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海獣の子供 2 (2) (IKKI COMICS)

  •  五十嵐 大介/

  • 販売元/出版社 小学館

  • 発売日 2007-07-30


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魔女』の二巻からはや二年、こちらの方が中断したままでいるのは残念なのだが、それと入れ替わるように始まった『海獣の子供』がようやく単行本としてまとまった。一二巻同時でしかも一巻がそれぞれ三百ページ強という分厚さ。一気に読んでしまうのがもったいないけれども、これだけの分量を一気に読んでしまうことの心地よさというか快感は押さえきることが出来ないので、一気読み。
短編だった『魔女』にくらべると、それなりのページ数を割くことが出来る舞台をもらったせいか物語の密度は薄い。『魔女』のあの濃厚な世界は期待しても出ては来ないけれども、その変わりに五十嵐大介のあの絵を存分に堪能することが出来る。『魔女』ように一気に異界へと引きずり込まれることはないものの、日常の世界から徐々に五十嵐大介のあの異界が姿を見せ始め、なかなか全貌を見せてくれないもどかしさも同時に伴って、魅了するのだ。
物語としてはまだまだ続くし、サスペンスフルな内容でありながらも、どこかゆったりとした時間の流れと物語の展開速度のおかげなのか、二巻を読み終えて、非常に満足した状態でいる。  

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2007年08月20日

トロイメライ

トロイメライ

  •  島田 虎之介/

  • 販売元/出版社 青林工藝舎

  • 発売日 2007-07


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二年越しの連載が終わってようやく一冊にまとまりました。島田虎之助の作品ってまとまった形で読んだ方がはるかに楽しめるので、連載中は読むのをずっと我慢……我慢した甲斐がありましたよ。
今回は前二作と比べると意外と単純な構成で、前作に登場した人物がまた登場したりして、『ラスト・ワルツ』や『東京命日』のような目眩がしそうなくらいの複雑な物語を期待していると拍子抜けしてしまう。
とはいっても、「ヴァルファールト」と呼ばれたピアノにまつわる物語を中心にして、それに関わる人々の物語はそこまで盛り込むのかと言いたくなるほど過剰なまでに濃厚で、素晴らしい。ピアノの原材料となった木にかけられた呪詛。その呪詛は今でも有効で、その為にドイツは二度の戦争で負けてしまった。呪詛はドイツという国に争いと敗北を与えるのである。一方で、傷だらけになったそのピアノを修復しようとする人々の物語が平行して進んでいく。
修復を試みる人々にもそれぞれの物語があり、そしてそれらが最後、一点に収束していくのだが、見事なまでに何も起こらないのである。呪いは解けたのだろうか、いやおそらくは解けたのだろうし、ピアノの修復を依頼した人物も少しだけ願いがかなったし、この物語に関わった人物は皆、多分少しだけ幸せを感じることが出来たのであろう。
しかし、それさえもどうでも良くなってしまうのである。修復されたピアノの鍵盤がたたかれた瞬間、その瞬間に全ての物語が交差して、そしてまたバラバラになっていくのである。その一点を見せつけられただけでもう満足なのだ。  

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2007年07月18日

乙女ケーキ

乙女ケーキ

  •  タカハシ マコ/

  • 販売元/出版社 一迅社

  • 発売日 2007-06-18


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エオマイア』のタカハシマコの新作だったのだけれども、どうみても今回は自分の守備範囲外の作品でした……のですが、オビで桜庭一樹が推薦文を書いているではありませんか。
まだ手を付けてはいないけれども桜庭一樹の新作『青年のための読書クラブ』は「史上最強にアヴァンギャルドな“桜の園”」などといううたい文句。ここでいう“桜の園”はひょっとしたらチェーホフのほうを指しているのかも知れないけれども、字は多少違えども“櫻の園”といえば吉田秋生の名作『櫻の園』ことで、なんてタイムリーなんだというか、卑怯な組み合わせというか、『青年のための読書クラブ』を読む前に読んで置いても良いのではないかという気分にさせられたわけです。


What are little girls made of?
What are little girls made of?
Sugar and spice
And all that's nice,
That's what little girls are made of.

ううむ……さっぱりわからん。
というか、男と女の違いというべきか、所詮、男の子はカエルやカタツムリなどという気味の悪いもので出来ていて、せいぜいかわいくて子犬のしっぽであります。砂糖にスパイス、そして素敵なものばかりで出来ている世界を理解するのは大変です。
もの凄く難解な小説を読み解こうとしているがごとく、そして、SFではないのに良質なSFを読んだときと同じような衝撃と、不思議に満ちあふれ、男と女は違う生き物なのだと最後には挫折しそうになってしまう。
特に凄いのは、「タイガーリリー」というお話。主人公の二人はなんと老婆。それでいて、少女の姿で描かれているのです。
見かけは少女でありながらも、実際は老婆。そんな設定の中でさらりと凄いことをやってのけている……まいりました。  

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2007年06月22日

フンティーとレポンちゃん

フンティーとレポンちゃん

  •  いがらし みきお/

  • 販売元/出版社 竹書房

  • 発売日 2007-05-07


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思いのほか長期に渡って連載が続いている『ぼのぼの』だけれども、最近は以前のような面白さが減って、決してマンネリ化したというわけでもないんだけれども、もう少し過激さが欲しいよなあと思うようになってしまいました。いや、もともと過激な笑いってのはなかったんだから、無い物ねだりなんだけどさ。
で、『フンティーとレポンちゃん』はというと、いや驚きました。前半は1ページに2コマの漫画というよりも絵本に近い形、後半はどういう変化があったのか知らないけれども、上下に4コマの普通の4コマ漫画。これだけ見れば、まあ後半はともかく、前半だってそれほど驚くものでもないんだけれども、レポンちゃんに驚きました。フンティーは子犬、レポンちゃんは人形、そしてレポンちゃんのすぐ隣にはレポンちゃんを10分の1にしたくらいの小さなレポンちゃんがいて、さらにその隣には一回り小さなレポンちゃんがいるのです。
3人でというか3体でレポンちゃんなのです。それほど多くの漫画を読んできたわけではないのでひょっとしたらそれほど驚く事ではないのかも知れませんが、3体でレポンちゃんというキャラクター造形には驚きました。
もっとも、その設定がなにかもの凄い重要な展開になるわけではなく、大きなレポンちゃんが喉がいがらっぽくなったときに小さなレポンちゃんに喉の調子を聞いて、小さなレポンちゃんも喉がいがらっぽかったので、さらに小さなレポンちゃんに聞いて、さらに小さなレポンちゃんは平気だったので、まだ大丈夫だなと外へ遊びに行く話がある程度です。
キャラクターといえば、この本、主人公を除けば総勢26人ものキャラクターが登場するのですが、全員1話限りの登場という見事な使い捨てっぷりも素晴らしいです。  

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2007年06月21日

預言者ピッピ 1

預言者ピッピ 1 (1)

  •  地下沢 中也/

  • 販売元/出版社 イースト・プレス

  • 発売日 2007-04


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いやあ、まったくノーチェックだった一冊。表紙をみて何か気になるものがあったので読んでみたのですが、これは思わぬ収穫でした。
地震予知のために作られた人型ロボット「ピッピ」。開発者の一人、瀬川博士の息子「タミオ」と共に成長し、自我こそないもののコミュニケーションができる程の能力を持つ。
やがてピッピは地震の予知に成功し、人類は新たな一歩を踏み出すことになったのだが、ピッピの親友ともいえるタミオが交通事故で死んでしまう。
そしてそれをきっかけにピッピは暴走してしまう。しかしこの話は暴走という単純な話ではない。
第一話目からしてすでに言及されているのだけれども、ピッピの予知は果たして予知なのかという問題が語られる。量子力学での観測問題と同様に、不確定だったものが観測されたから確定したのではないのか、つまりピッピが予知したからそのようになったのではないのだろうかという問題がさりげなく語られるのだ。
では、地震が起こるはずがなかったのに予知したから起こったのかということにもなるのだけれども、そのあたりは実にうまく処理されていて、だからこそ「予知」から「預言」と変化しているのである。
もちろん、まだ完結していないのでこの先どのような方向へと話が進んでいくのかはわからないのだけれども、全ての事象がピッピによって予知され確定してしまうのかそれとも違う方向へと進んでいくのだろうか。
また、物語的には焦点こそあたっていないけれども、問いかけられた質問に対して答えるだけの自我のないピッピが、生前に「ボクのことを忘れないで」といったタミオの約束を守るために自分の中にタミオの行動パターンをシミュレートし、そのシミュレートされたタミオが何故とピッピに問いかけることにより、それまで外部からの問いかけでしか反応しなかったピッピが外部の存在無しで行動し始めるというあたり、自我のようなものの芽生えとしてなにげなくスリリングである。
とはいえども、掲載誌が掲載誌なので完結するのかどうか非常に不安でもある。  
タグ :地下沢中也

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2007年05月23日

海街diary 1

海街diary 1 (1)

  •  吉田 秋生/

  • 販売元/出版社 小学館

  • 発売日 2007-04-26


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『BANANA FISH』以降は『ラヴァーズ・キス』があるものの『YASHA夜叉』やら『イブの眠り』やらと天才の登場する超人物語ばかりで、吉田秋生もそっちの系統へと行ってしまったんだなあ、などと思っていたら帰ってきてくれました。
始めて読んだのが『十三夜荘奇談』。旧『スターログ』で紹介されていたのがきっかけだったのですが、それから『吉祥天女』『河よりも長くゆるやかに』へと続き、ああ、あの頃の吉田秋生は神がかっていたものです。
『BANANA FISH』も良いけれども、やはり私の好きな吉田秋生の物語はやはり何気ない日常のお話の方なのです。
今回は鎌倉が舞台。祖母の残した古い一軒家に住む三姉妹のもとに、父親の死の知らせが入るところから物語は始まる。父親といっても彼女たちが幼い頃、よそに女を作って家を出たっきり音沙汰無しの状態だった父親である。
そして父親はその女性との間に子供をもうけており、三姉妹は葬式に向かった先で腹違いの妹と出会うこととなる。
父親を亡くしても淡々としている妹。そして葬式に出て遺影を目の前にしても三姉妹にとっては父親という実感はさっぱりわかない。
葬儀が終わって三姉妹は鎌倉へと帰るのだが、その帰り道、腹違いの妹が追いかけてきて父親が大事にしていた封筒を三姉妹に渡す。その中に入っていた写真を見たとき、彼女たちは父親の存在が自分たちと繋がったことを実感する。
ああ、そうだよ、こういう話が読みたかったのだ。  

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2007年04月13日

街角花だより

ヴォネガット死去。言及するつもりはなかったけれども公式サイトが泣けたので。特に「Jr」が付いているあたりは。

街角花だより

  •  こうの 史代/

  • 販売元/出版社 双葉社

  • 発売日 2007-03-12


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チェックし忘れていて書店で見かけて驚いたのがこうの史代の「街角花だより」。当分新作なんて出ないだろうと高をくくっていたのが失敗でしたよ。
もっとも中身の方はといえば完全な新作というわけではなく、十年前のデビュー作とそのリメイクという変わった構成。デビュー作が明石版、リメイクの方が日和版と名付けられてはいるけれども、まあそれほどたいした違いはない。と書くと何だか語弊があるような気もする。デビュー時から完成度が高かったと見るか、十年経っても変化があまりないと見るか……。
大きな違いはないけれども、比べてみればそこには確かな違いは見つかるわけで、その違いというのはやはり作者の十年という歳月の重みでもある。しかし、そんなことは考えずにここは気楽に読むのが一番なのかも知れない。
で、今回も装丁が凝っていて、花屋が舞台だけあるせいかカバーにラップ紙と呼ばれる包装紙が使われている。そしてその裏面を表にしてカバーとしているのだ。なんか変な模様が浮き出ているなあとおもってカバーをめくって裏を見たとたんに思わずにやりとしてしまった。
さすがチラシの裏に漫画を書く作者だけのことはあるなあ。  

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2007年03月27日

秘密-トップ・シークレット 3

秘密-トップ・シークレット 3 (3)

  •  清水 玲子/

  • 販売元/出版社 白泉社

  • 発売日 2007-02-28


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前巻が出たのが2003年の六月でしたからけっこう待たされました。もっとも一話完結なので間があいてもそれほど影響はないのですが、それにしてもまあこれだけ間があいてしまうと期待値も増大してしまうわけです。
物語の舞台となるのは2060年とやけに未来の日本。脳から視覚の記憶を取り出し、それを映像として見ることができる技術が開発され犯罪捜査のために用いられていた。被害者が生前見ていたものを調べることが出来れば、そこに犯人の姿が映っているかも知れないからだ。
で、主人公たちはこの機械、MRIスキャナを使って犯罪捜査を行うのだけれども、これが一筋縄ではいかない。というのはMRIスキャナの限界と制約という部分が良くできていて、視覚情報を取り出すことが出来たからといってもその情報は必ずしも正しいわけではなく、個人の主観というフィルターを経由しているため事実と全く違う映像が取り出されてしまうこともあるからだ。被害者が幻覚を見ていた場合、取り出されるのは幻覚のほうなのである。
そして主観を通してのぞき見るということは個人の「秘密」をのぞき見ることでもある。
前巻ではこの設定を駆使し、犯人側がこのMRIの限界を理解した上での犯罪が行われたので、非常にトリッキーな内容になっていたのだけど、今回はオーソドックスな使い方をしている。そこが物足りないといえば物足りないのだけれども、それ以上に引っかかるのが細部の詰めの甘さで、もう少しうまく処理できなかったのかなあ。
まあ、あらゆる犠牲をはらってでも秘密にしておきたかった事柄そのものについてはよく理解できるんだけど、この作者って、人間の体の中には血が流れていて、切れば血が流れ出すし、そして痛いということを忘れてしまう瞬間があるんじゃないのかと思ってしまう。脳を取り出された頭部とか、皮膚をはぎ取られた体、内臓を摘出された腹部、もしくは内臓が露出した人体などの描写があるのだけれども、人体模型のようにきれいで血の気配を感じさせない。もちろん血の出ている場面も描かれるのだけどそれはあくまで風景の一部としてで、損傷された人体が描かれるときはそこに血が流れているとは感じさせないほどきれいなのだ。
もちろんそれはあくまで表現方法の一つとしてであり、深い意味はないのだろうけど、今回の細部の甘さは、そういう描き方に引きずられてしまったせいのような気がする。
しかし、なんといっても一番驚いたのは、ラストの二ページ。そこに描かれた絵はある種の安らぎを感じさせるものであるのに対して、そこに書かれた言葉の内容の方は愕然とする。
そこまで冷酷にならなくってもいいだろうと言いたくなるくらいに現実的な物語の決着の付け方で、虚構の世界から一気に現実へと引きずりだされてしまった。そりゃ実際にこんな事件が起こればこんな結末になるよなあ。ある意味この物語の最大の見せ場はこの最後の二ページなのである。  

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2007年01月18日

トランスルーセント彼女は半透明(5)

トランスルーセント 5
  

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2006年12月27日

続 水惑星年代記

水惑星年代記 続
大石 まさる
  

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2006年12月18日

特務咆哮艦ユミハリ(3)

特務咆哮艦ユミハリ 3
  

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2006年12月14日

魔女

魔女 1
五十嵐 大介
  

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2006年12月07日

漫画雑感

無限の住人 20
沙村 広明著

ヴィンランド・サガ 3
  

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2006年11月16日

軽井沢シンドローム SPROUT(7)

軽井沢シンドロームSPROUT 7
  

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