擬態 カムフラージュ

Takeman

2007年06月18日 12:30



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いや、つまらなくはないんだけど想像していたような面白さじゃなかったなあ。
一つ一つのエピソードが実に短くて読みやすく、そしてエンターテイメント性も高いんだけれども、そのせいかひたすら軽い。
50年代の娯楽SFを最新のSFだと偽られて読まされたような気分というのが一番近いかな。ネビュラ賞とティプトリー賞を取ったってことも変な先入観を持ってしまった原因のひとつだけれども。
何にでも変身できるほぼ不老不死の生命体という設定を、何のひねりも説明もなしに導入して、とりあえず質量の問題さえクリアしておけばそれで良いのかと問いつめたくもなる。もっとも海底で発見した謎の物体のパートもあれこれやって、何にも判りませんでしたという展開だったので、もともとハード的な側面に関しては描くつもりは無かったんだろう。
といっても、謎の生命体が人間に擬態して、いろいろと学んで最後に「愛」という感情を学びました、終わり。という話で満足できるのかというと、満足できるはずもない。
そもそも、一番最初に人間に擬態しようとした時点で、何の罪もない少年をぶち殺しているのである。昔はワルだったけど今は更正しました、といわれてもなあ。

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