手斧が首を切りにきた

カテゴリー │創元推理文庫

バットマン、スーパーマンときたら次はスパイダーマンしかないのだが、あいにくこれといっためぼしい物が見あたらない。

というわけで、全然関係ない話になる。

手斧が首を切りにきた

  •  フレドリック・ブラウン/

  • 販売元/出版社 東京創元社

  • 発売日 1973-04


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手斧が首を切りにきた。

といって、あなたがどんな内容を想像したのか知らないが、ここで語られるのはフレドリック・ブラウンの話だ。
才人ブラウンの手によるものだから手堅くまとまっているけれども、まあ正直言ってわざわざ読むようなものでもない。とくにブラウンの奇抜な発想みたいなものを期待しているような場合は。
基本となるストーリーの合間に、ラジオ放送・映画・スポーツ放送・テレビ放送などがはさまれるのだが、そこで語られている内容は主人公の物語なのである。スポーツ放送ではいきなり中継を中断し、主人公の行動を追いかける。そしてレポーターは主人公に話しかけたりするのである。もちろんそれはブラウンのお遊びでありメタフィクション的な展開にすぎないのだが、そこまでする必要があったのかといえば、多分無い。ブラウンの才気による勇み足だろう。
しかし、それでも<エド・ハンター>シリーズにおいて顕著なブラウンの登場人物に対するやさしい視点の物語を望んでいる場合、この本を読む価値はある。そして何よりも、最期の一頁でそれまでの展開全てをぶちこわしてしまう衝撃はなんとも形容しがたい切なさと悲しみをもたらすし、その構成はアイデアの元となったマザーグースの歌と全く同じであることに気付いたとき、ブラウンの才人ぶりに感心するのだ。

Gay go up and gay go down,
To ring the bells of London town

Bull's eyes and targets,
Say the bells of St. Marg'ret's

Brickbats and tiles,
Say the bells of St. Giles'.

Oranges and lemons,
Say the bells of St. Clement's.

Pancakes and fritters,
Say the bells of St. Peter's.

Two sticks and an apple,
Say the bells at Whitechapel.

Old Father Baldpate,
Say the slow bell sat Aldgate.

Maids in white aprons,
Say the bells at St. Catherine's.

Pokers and tongs,
Say the bells at St. John's.

Kettles and pans,
Say the bells at St. Anne's.

Youu owe me five farthings,
Say the bells of St. Martin's.

When will you pay me?
Say the bells at Old Bailey.

When I grow rich,
Say the bells at Shoreditch.

Pray, When will that be?
Say the bells at Stepney.

I'm sure I don't know,
Says the great bell at Bow.

Here comes a candle to light you to bed,
Here comes a chopper to chop off you head.

レスリー・ポールズ・ハートリーの「遠い国からの訪問者」もこの歌が関係する話だそうなのだが、KAWADE MYSTERYで企画されている『ポドロ島』にこの話が収録されるといいなあ。


いろいろな事情と思うところがあってもうひとつブログを作りました。 新しいブログで書いていることは、他愛もない書きなぐりの文章になってしまっていますが、興味のある方は新しいブログの方も見てやってください。 もうひとつのブログ --> abandonné cœur.

 
 
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