2008年03月10日12:30
式貴士といえば「カンタン刑」なのだろうけど、これはもう枕詞のようなものではないだろうか。
初めて式貴士の本を読んだのは僕が中学生のころで、その本は『カンタン刑』という題名の文庫本だった。題名そのもののインパクトはあったけれども、どうもこういった方面の話に関しては耐久力があるというか、いやむしろこういった方面に関して想像力がさっぱり働かないせいで読んでいても全然平気だったのである。まあどんな気色悪い話であろうが恐ろしい話であろうが想像力を働かせなければ大丈夫なのだ。
というわけで、僕にとっては式貴士といえば「長いあとがき」なのである。もともと「あとがき」が好きで「あとがき」の無い本はどんなに面白そうな内容でも手に取らなかった僕にとって、「長いあとがき」を書いてくれる式貴士は最高の作家で、高校での読書感想文に『カンタン刑』を選んで「長いあとがき」に対する愛情を書いてしまうほど熱中していたのだった。
しかし、どんなに好きな作家であっても、当時の財力ではハードカバーまでは手が出せず、もっぱら文庫化された物を読むので精一杯だった。
で、どんな場合でも熱は冷める時がくるのだ。
文庫化された本に「長いあとがき」がつかなくなってしまったのだ。そのとき初めて大人の事情と厳しい社会の現実を突きつけられたわけなのだが、あいにく突きつけられたことさえも気がつかないほど当時の僕は馬鹿だったでの、それ以降式貴士に対する熱が冷めてしまったのである。
こうして装いも新たに出版されたこの本を読んで、自分のあさはかさと無知を悔やみ、そしてあらためて式貴士の持つセンチメンタリズムに心が揺れ動いたのだが、読み終えてみると「長いあとがき」が無いことに失望している自分がいるのであった。
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カテゴリー │光文社文庫
- 著 式 貴士
- 販売元/出版社 光文社
- 発売日 2008-02-07
式貴士といえば「カンタン刑」なのだろうけど、これはもう枕詞のようなものではないだろうか。
初めて式貴士の本を読んだのは僕が中学生のころで、その本は『カンタン刑』という題名の文庫本だった。題名そのもののインパクトはあったけれども、どうもこういった方面の話に関しては耐久力があるというか、いやむしろこういった方面に関して想像力がさっぱり働かないせいで読んでいても全然平気だったのである。まあどんな気色悪い話であろうが恐ろしい話であろうが想像力を働かせなければ大丈夫なのだ。
というわけで、僕にとっては式貴士といえば「長いあとがき」なのである。もともと「あとがき」が好きで「あとがき」の無い本はどんなに面白そうな内容でも手に取らなかった僕にとって、「長いあとがき」を書いてくれる式貴士は最高の作家で、高校での読書感想文に『カンタン刑』を選んで「長いあとがき」に対する愛情を書いてしまうほど熱中していたのだった。
しかし、どんなに好きな作家であっても、当時の財力ではハードカバーまでは手が出せず、もっぱら文庫化された物を読むので精一杯だった。
で、どんな場合でも熱は冷める時がくるのだ。
文庫化された本に「長いあとがき」がつかなくなってしまったのだ。そのとき初めて大人の事情と厳しい社会の現実を突きつけられたわけなのだが、あいにく突きつけられたことさえも気がつかないほど当時の僕は馬鹿だったでの、それ以降式貴士に対する熱が冷めてしまったのである。
こうして装いも新たに出版されたこの本を読んで、自分のあさはかさと無知を悔やみ、そしてあらためて式貴士の持つセンチメンタリズムに心が揺れ動いたのだが、読み終えてみると「長いあとがき」が無いことに失望している自分がいるのであった。
タグ :式貴士
いろいろな事情と思うところがあってもうひとつブログを作りました。
新しいブログで書いていることは、他愛もない書きなぐりの文章になってしまっていますが、興味のある方は新しいブログの方も見てやってください。
もうひとつのブログ --> abandonné cœur.