2012年12月12日19:57
合唱がテーマの物語というと、漫画になるけれども、岩岡ヒサエの『オトノハコ』を思い出す。
あちらは高校の合唱部が舞台なのだが、こちらは部活ではなく、女子高のとあるクラスメート達による自主的な合唱だ。
7つの短編からなる連作短編で、それぞれ語り手が異なるのだが、話が進むにつれて彼女たちと彼女たちのクラスのようす、そして彼女たちの表の顔と裏の顔、といってしまうと語弊があるのだが、要するに、他者という外からの視点で描かれる彼女たちと自分自身という内側から描かれる彼女たちの姿が、この多感な時期の姿として少しずつ浮き彫りにされてくる手際は実にうまい。
特に、この一連の物語におけるキーパーソンである少女を第一話で語り手として描いていることによって、それ以降の物語において彼女が他者からどのように見られているのかというか、第一話での語り手がこんなにも他者からは違うイメージで捉えられていたのかというギャップの大きさと、そのギャップの大きさ故に、他者とかかわり合うということの難しさが浮き彫りになっていく。
そして最終話に近づくに連れてお互いにお互いを理解しあうことによって信頼関係が少しづつ築きあげられていくのだ。
『よろこびの歌』宮下奈都≫
カテゴリー │実業之日本社文庫
合唱がテーマの物語というと、漫画になるけれども、岩岡ヒサエの『オトノハコ』を思い出す。
あちらは高校の合唱部が舞台なのだが、こちらは部活ではなく、女子高のとあるクラスメート達による自主的な合唱だ。
7つの短編からなる連作短編で、それぞれ語り手が異なるのだが、話が進むにつれて彼女たちと彼女たちのクラスのようす、そして彼女たちの表の顔と裏の顔、といってしまうと語弊があるのだが、要するに、他者という外からの視点で描かれる彼女たちと自分自身という内側から描かれる彼女たちの姿が、この多感な時期の姿として少しずつ浮き彫りにされてくる手際は実にうまい。
特に、この一連の物語におけるキーパーソンである少女を第一話で語り手として描いていることによって、それ以降の物語において彼女が他者からどのように見られているのかというか、第一話での語り手がこんなにも他者からは違うイメージで捉えられていたのかというギャップの大きさと、そのギャップの大きさ故に、他者とかかわり合うということの難しさが浮き彫りになっていく。
そして最終話に近づくに連れてお互いにお互いを理解しあうことによって信頼関係が少しづつ築きあげられていくのだ。
タグ :宮下奈都
いろいろな事情と思うところがあってもうひとつブログを作りました。
新しいブログで書いていることは、他愛もない書きなぐりの文章になってしまっていますが、興味のある方は新しいブログの方も見てやってください。
もうひとつのブログ --> abandonné cœur.