アルファ・ラルファ大通りの脇道

おそらくはジェフリー・ディーヴァーの「ボーン・コレクター」で有名になった、「ロカールの相互交換原則」が使われていたのに驚きました。1984年の作品ですからディーヴァーよりも早いのです。とはいうものの、犯人はほとんど手がかりを残さないし、科学捜査が主題ではないううえに、はっきりいって小説としては下手なのでディーヴァーに軍配が上がってしまうのはしかたありません。もっとも、この話が第一作なので展開がぎこちないのに文句を言うのはちょっとばかり酷な気もします。
まあそれはともかくこの小説は、ある事件が原因で引退していたのが「ヘッドハンター事件」が起こったために要請をうけて再び指揮官として復帰することになってしまったディクラーク警視の苦悩の物語がメインであります。
犯人逮捕ができないばかりに苦悩し続け、引退することになったある事件に悩み、挙げ句の果てに拳銃自殺を計ろうとしてしまうディクラーク警視。しかし作者はそれでもまだ苦しみが足りないとばかりにディクラーク警視にとんでもない結末を迎えさせます。
あんた鬼だよ、マイケル・スレイド。

どうもこの作者、重要なキャラクターでもあっさり殺してしまうみたいです。主要キャラクターと思われる人物が次の話では当然のごとく不幸な目に遭うという点では、まるでジョー・R・ランズデールの「ハップとレナード」シリーズのようですが、あちらは「笑い」があるぶん、まだ救いがありますが…