『時間の歩き方(4)』榎本ナリコ

カテゴリー │漫画


  • 時間の歩き方(4)

  • 著: 榎本ナリコ

  • 販売元/出版社: 朝日新聞出版

  • 発売日: 2014/1/4

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これにて完結。
一巻の三話までは傑作だったのだけれども、そこから続く話となると少しトーンダウンしてしまい、どんなものかなとヒヤヒヤしながら読んでいたのだが、二巻、三巻で描かれていたエピソードが、最後に来てそう来たかと膝をたたきたくなるくらいにうまいことはまり、作者が希望していたとおりのハッピーエンドに収まる。
タイムパラドックスとそれに対する対処という点においては、パラドックスを起こそうとすると「時間」によって一時停止(ホールド)と呼ばれる現象が発生し、その時間に干渉できなくなるという設定、さらにはその状態でさらに時間の定めたルールを犯すとダブルホールドという状態になり、通常の時間の流れとは離された状態になってしまうというのがこの物語における時間の基本設定だ。主人公達は一巻でホールド状態になっており、そしてそのホールド状態を抜けだそうとするというのがそれ移行の話となるのだが、そもそも、主人公の一人、杉田果子がホールド状態になってしまったのは憧れの先輩を助けようとして、代わりに自分が死んでしまうところをさらに助けてしまったからで、ホールドを解除するということは杉田果子は死んでしまうということになるのだ。
つまるところ、この状況をハッピーエンドに持っていくために残りの三巻をかけて作者は時間のルールを新たに設定し、そこからハッピーエンドに至るロジックをつくりだしたわけで、その手間を思うと、多少の疑問や不満は気が付かなかったことにしてもいいかなという気持ちもある。
そのくらい満足できた物語だった。


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