『千年万年りんごの子3』田中相

カテゴリー │漫画


  • 千年万年りんごの子(3)

  • 著: 田中 相

  • 販売元/出版社: 講談社

  • 発売日: 2014/3/7

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食べてはならないりんごの実を食べてしまったがために、おぼすな様とよばれる神様の嫁としてその身を捧げなくてはならなくなった主人公の妻。
前巻ではその土地を離れ、東京へと逃げることによって元凶である神様、おぼなす様の影響の範囲から逃れようとしたのだが、この土地に根付くこの神様の力は、あくまでこの土地の範囲内においてのみ影響力があるとはいうものの、その土地に住む人達は全てこの神様の影響の範囲下にあり、子どもたちにその影響が及ぼされ始めたために再びこの土地へと戻らざるをえない状況になった。
そして次第に若くなっていく主人公の妻。
一方でこの状況を打破するために、60年前に何が起こったのかを探りだす主人公。
しかし、60年前の真実は主人公を苦しめる内容であり、それでいて妻の若返りの速度は変わらないまま、若くなりすぎた彼女はついには主人公との思い出の記憶すらも定かではなくなり始める。
その中で、主人公が最後に取った手段は、他者からみれば決してほめられるような方法ではないものの、しかし、もし自分が主人公だったとしたら同じような選択をしたかもしれない。
本当の親に捨てられ、捨て子として養父母に育てられた主人公。それゆえに世の中には仕方のないことがあると、諦め続けてきた人生の中で、たった一つ諦めることのできないものが見つかった途端に、諦めざるをえない状況に陥って、そして決してハッピーエンドにはならないこの物語は、僕にとってはあまりにも切なすぎて認めたくないほど悲しい物語だった。

三巻という長さで綺麗にまとまったのだけれどもね。


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