クリスピー物語

カテゴリー │ホンの話


書店では売っていないちょっと珍しい一冊。
「ネスレ クリスピー物語」というお菓子に同梱された文庫本です。平たく言えばお菓子のおまけなんですが、見た目は普通の文庫本と全く同じで、何ら遜色ありません。「ネスレ クリスピー物語」の栞まで挟み込まれています。ページ数が96ページと、もう少しで薄い文庫の記録を更新するところだったのですが……、惜しい。
で、まあ見た目よりも中身の方なんですが、鈴木光司、大石圭、牧野修、森山東、小林泰三、北野勇作となかなかの顔ぶれ。というか角川が協力しているらしく、角川ホラー系の作者ばかりです。お菓子のおまけにホラー系の作家を集めるなんてなんだか人選ミスのような気もするんですが、意外や意外、一部を除いて心温まる物語になっています。
一部ってのが小林泰三なんですけどね。相変わらずやっかいな論理をこねくり回した上で、心温まらない嫌な終わり方をしています。まさに邪悪な作家ですよ。
しかし、一方で牧野修も、救いのある終わり方をしているんですが、唯一死人が出る話を書いています。卵の中から予想もつかない変なものも出てくるという点では電波系ホラーの面目発揮といったところです。北野勇作の話もやっぱり北野勇作らしい不思議な話。不思議なことが起こるのだけれども、主人公はそれをあるがままに受け入れて日常生活を送り続けるのです。一番のお気に入りはこの話でした。


いろいろな事情と思うところがあってもうひとつブログを作りました。 新しいブログで書いていることは、他愛もない書きなぐりの文章になってしまっていますが、興味のある方は新しいブログの方も見てやってください。 もうひとつのブログ --> abandonné cœur.

 
 
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